Chapter 949
番外編 愛の続き 2
九条凛が部屋を出ていくと、九条蓮は携帯を取り出し、九条家の大旦那様たちに高橋美咲がもうすぐ出産だと知らせた。
すべての手配が終わる頃には、高橋美咲はすでに分娩室へ運ばれていた。
分娩室の外で、九条蓮は落ち着かずに座っていられず、九条凛もそわそわと行ったり来たりしていた。九条家の大奥様と九条家の大旦那様が急いで駆けつけてきたが、二人は九条蓮や九条凛ほど動揺していなかった。人生経験が豊富な分、若い二人よりもずっと落ち着いていた。
「どう?美咲さんの様子は?」
九条凛は急いで九条家の大奥様に駆け寄り、「お祖母様、美咲さんは今入ったばかりで、まだ何もわからないんです。さっきまで赤ちゃんの名前を考えていたら、急に陣痛が来て……」と説明した。
九条家の大奥様は「もう予定日も過ぎていたし、今産まれてくれるのはむしろ安心よ。これ以上心配しなくて済むもの。きっと大丈夫だから、落ち着いて」と優しく言った。
一秒一秒と時間が過ぎていき、ついに分娩室の扉が開いた。
中から医師が出てきて、皆が一斉に駆け寄った。「先生、どうでしたか?母子ともに無事ですか?」
期待に満ちた視線を受けて、医師は穏やかに微笑み、「おめでとうございます。奥様は無事にご出産されました。女の子です。母子ともに健康です。今は看護師が処置をしていますので、もうすぐお出しできますよ」と告げた。
九条凛は医師の言葉を聞いて、しばし呆然とした。
え……?今、先生は何て?高橋美咲が産んだのは女の子?じゃあさっき決めた名前、ルルって……まさか!
……
結局、九条凛の案が通ることはなかった。あんな名前は女の子にはさすがに可哀想だし、いくら響きが強そうでも、後で絶対に笑われてしまう。
子どもの名前は、最終的に九条家の大旦那様と九条家の大奥様が一緒に考えて決めた——九条瑠衣。
高橋美咲も特に異論はなかった。むしろ素敵だと思ったくらいだ。
ただ、九条凛はこっそりと小さな瑠衣のことを「ルル」と呼び続けていた。結局それが自然とあだ名になり、本人と一緒に決めた名前だと勝手に思い込んでいるようだった。
そんな九条凛の様子を見て、高橋美咲は呆れながらも微笑んで首を振った。
高橋美咲の第一子が女の子だったが、みんなとても大切にしていた。九条家の大奥様も九条家の大旦那様も、昔ながらの古い考えはまったくなかった。これまでいろいろなことを経験してきたからこそ、子どもが多いことで争いも多かった。今は一人か二人で十分幸せだと感じていた。
ひ孫と一緒に過ごすため、九条家の大旦那様と九条家の大奥様は、田舎での素晴らしい暮らしをきっぱりと手放し、毎日子どもの顔を見て少しでも遊んでやろうと、九条家本邸へ戻ってきた。
高橋美咲は子どものことをまったく心配していなかった。なぜなら、親戚や友人がみんなで誰が一番甘やかすかを競い合っていたからだ。
九条瑠衣が歩けるようになった頃には、すでにとても愛らしかった。毎日、よちよちと九条家の大奥様や九条家の大旦那様のもとへ歩み寄る姿に、二人の心はすっかりとろけてしまい、今にも駆け寄って抱きしめ、キスの雨を降らせたくなるほどだった。
その少し後、九条瑠衣は言葉を覚え始め、みんなが彼女の最初の一言を心待ちにしていた。
九条凛は、誰に最初に呼びかけるかで賭けまで始めた。
もちろん、自分に賭けた。
勝つために、九条凛は毎日のように九条家本邸へやってきては、九条瑠衣をからかい続けた。「小さな暴君、早く“おばちゃん”って呼んでよ!呼んでくれたら飴をあげるからね。」
九条瑠衣は九条凛を淡々と見つめただけで、すぐに視線を外し、手にしたおもちゃでまた遊び始めた。
完全に無視されて、九条凛はひどく打ちのめされた気分だった。どうして兄の娘は、兄とまったく同じ性格なんだろう?
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