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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 939 - 彼女は九条蓮を探しに行った(続き)

Chapter 939

彼女は九条蓮を探しに行った(続き)

サプライズと言いながらも、高橋美咲の心にはもし本当に九条蓮に妻や子どもがいたら、自分が誰かの家庭を壊してしまうのではという不安があった。

最後に自分が望んだ答えを得たら、そっと身を引くつもりだった。

真壁直人の助けを借りて、高橋美咲は無事に中へ入ることができた。

九条蓮を探しに行こうとする真壁直人に、高橋美咲は「少し脇の場所に連れて行ってほしい」と頼んだ。九条蓮の仕事を邪魔したくない、ただ静かにそばで見ていたい、という意味だった。

真壁直人は理由は分からなかったが、高橋美咲の希望通り、目立たない場所へ案内した。

そこからは九条蓮の姿がはっきり見えたが、よほど注意して見ない限り、二人の存在には気づかれないだろう。

「奥様、九条社長はあちらです」と真壁直人が前方を指さした。

高橋美咲はその方向を見つめた。

その時、九条蓮は完璧に仕立てられたスーツを身にまとい、スラックスが信じられないほど長い脚のラインを際立たせていた。全身から近寄りがたい気品と高貴さが漂い、目を離すことができなかった。

彼は数人の幹部と話しており、落ち着いた貴族のような雰囲気をまとっていた。それは高橋美咲が初めて彼に出会った時と少し似ていた。

高橋美咲が九条蓮の姿を目にした瞬間、目が一気に赤くなった。あまりにも長い間、彼に会えずにいたのだ。

高橋美咲の隣で、真壁直人はなぜ彼女がここでただ見ているだけなのか理解できなかった。九条蓮は高橋美咲が目覚めるのをどれほど待ち望んでいたことか。今こそ九条蓮のもとへ行くべきなのに。しかし高橋美咲の指示に逆らうこともできず、黙ってそばに立っていた。

その時、小さな女の子が九条蓮のもとへ駆け寄り、彼の脚にしがみついた。

九条蓮は他の人たちと話し続けていたが、脚元の少女に目を落とし、しゃがんで彼女を抱き上げた。その顔には優しい微笑みが浮かんでいた。

高橋美咲の顔色が一気に真っ白になった。ついにその子供の姿を見てしまったのだ。

これが、九条蓮が他の女性ともうけた子供なのだろうか。

「どうして神谷ひながここに?」と真壁直人の声が高橋美咲の隣で響いた。

高橋美咲は真壁直人の方を向き、「あの子の名前は神谷ひな?その……お母さんは、綺麗な人?どんな人なの?」と尋ねた。

真壁直人は正直に答えた。「神谷ひなは神谷仁奈さんの娘です。とても可愛くて、みんなから愛されています。九条社長もひなのことをとても可愛いと思っています。今日は神谷仁奈さんが連れてきたみたいですね。」

高橋美咲の顔色はさらに青ざめ、唇をかすかに歪めて苦笑した。そして「その神谷仁奈さんは、九条蓮に優しくしてる?」と聞いた。

高橋美咲の問いに、真壁直人は少し戸惑った。神谷仁奈は九条蓮の秘書で、自分と同じような立場の仕事だ。もし九条蓮に優しくしなければ、仕事にならないではないか。

真壁直人は、すでに高橋美咲が神谷仁奈と九条蓮の関係を誤解していることに気づいていなかった。

「とてもよくしていますよ。神谷仁奈さんは九条社長の日常の世話もしていて、特に気配りができて、仕事も丁寧で真面目です」と答えた。

高橋美咲の胸には大きな石がのしかかったようだった。目が熱くなったが、泣くまいと必死でこらえた。

こんな女性が九条蓮のそばで世話をしているなら、幸せであるべきなのだろう。なぜ自分は悲しいのだろう。

もしかしたら、この3年間はただすれ違っていただけで、これが二人の終わりなのかもしれない。

「分かりました。じゃあ、私はこれで」と高橋美咲は無理に笑みを作った。「これからは彼女が九条蓮のことを支えて、3人で幸せな家庭を築くのでしょうね。」