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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 938 - 彼女は九条蓮を探しに行った

Chapter 938

彼女は九条蓮を探しに行った

「お祖母様、私が今すぐ美咲を探しに行くから、心配しないで」

電話を切った後、九条家の大旦那様が「どうだった?凛は何て?」と尋ねた。

「今、美咲を探しに行ったわ。大丈夫よね?凛なら神谷海斗にも頼めるし、きっと問題ないはず」

高橋美咲はすでに市内行きのバスに乗っていた。窓の外を流れる景色を眺めながら、目覚めたばかりの感情から少しずつ抜け出していった。本当に目を覚ましたのだ。

でも、九条蓮に他の女性がいるかもしれないと思うと——

胸の奥に細かく鋭い痛みが広がった。高橋美咲には、そんな状況にどう向き合えばいいのかわからなかったし、自分がどんな選択をするのかもわからなかった。彼の幸せを願うべきなのか、それともその女性と最後まで戦うべきなのか——

しばらくして、バスは市内の停留所に到着した。

高橋美咲はバスを降りてタクシーを拾った。乗り込んだものの、少し迷った。今、九条蓮が会社にいるかどうかわからない。三年経っても、九条蓮はまだ元の会社にいるはず——そう思った。

「どちらまで行きますか?」と運転手が尋ねた。

高橋美咲が口を開こうとしたその時、ラジオから声が流れてきた。「本日、九条ホールディングスの九条智久氏、寧志の九条蓮氏…他数名の経営者がコンベンションセンターで協議を行っています。契約が成立すれば、旧市街地は…」

高橋美咲はその後の内容は耳に入らなかった。ただ、九条蓮の名前だけが聞こえた。

目に少し光が差し込んだ。「運転手さん、コンベンションセンターまでお願いします」

運転手はすぐに車を発進させ、コンベンションセンターへ向かった。ラジオを聞いて高橋美咲が行き先を決めたことに気づいた運転手は、少し話し好きになって「九条蓮って本当にすごい人ですよね。ここ数年で会社が一気に成長して、もともと九条ホールディングスから独立したって聞きましたけど、今や九条ホールディングスよりも上だとか」と話した。

高橋美咲の顔には複雑な思いが浮かんだ。九条蓮の実力はよく知っている。彼なら短期間で九条ホールディングスを超えるのも不思議じゃない。

でも、九条蓮が今これだけ高い場所にいるということは、それだけ彼がますます輝いている証拠。ならば、彼の周りに女性がいるのも当然だし、もっと素晴らしい女性が現れたら、彼がその人に惹かれて一緒になることだってあり得る。

高橋美咲は、九条蓮を探しに行くことにどんな意味があるのかわからなかった。でも、それでも自分の目で確かめたかった。

もし本当にそうだったとしても、きっと完全に諦められるはずだから。

ほどなくして、コンベンションセンターに到着した。高橋美咲は会場へ向かったが、社員証がなかったため、入口のスタッフにすぐ止められた。「社員証をご提示ください」

高橋美咲は困った顔をした。社員証なんて持っていない。

その時、ちょうど真壁直人が中から出てきた。高橋美咲を見つけると、驚きのあまり目を見開き、まるで幻でも見ているかのように固まった。

ま、まさか高橋美咲?

高橋美咲はどうやって中に入ろうかと悩んでいたが、まさかこんな形で道が開けるとは思わなかった。真壁直人を見つけて、すぐに「真壁直人、九条蓮は中にいる?私を中に連れて行って」と声をかけた。

高橋美咲の言葉を聞いて、真壁直人はようやく我に返った。本当に来てくれたんだ!

「奥様、ご無事だったんですね?」と真壁直人は嬉しそうに言った。

「うん」

「すぐに九条社長に伝えます。きっと大喜びされますよ」

「待って!」高橋美咲はすぐに真壁直人を止めた。「まだ九条蓮には知らせないで。私…サプライズをあげたいの」