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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 932 - 九条蓮、またも行き止まりに陥る(続き)(続き)

Chapter 932

九条蓮、またも行き止まりに陥る(続き)(続き)

真壁直人が入ってくると、興奮気味に言った。「九条社長、高橋彩花を見つけました。すでに連れてきています。どうなさいますか?」

九条蓮の目が細くなり、そこには殺気が浮かんだ。

真壁直人は、九条蓮が高橋美咲の怒りを晴らすために高橋彩花を酷く痛めつけるのだろうと思っていた。高橋美咲をこんな目に遭わせたのだから、九条蓮が彼女を憎んで当然だ。

だが意外にも、九条蓮は冷たく笑い、「どこにいる?」とだけ言った。

真壁直人は驚いた表情を見せた。九条蓮が高橋彩花に会いたがるとは思わなかった。一体何を話すつもりなのか。

ほどなくして、九条蓮は高橋彩花と対面した。

高橋彩花はみすぼらしく隅でうずくまり、髪は乱れ、顔には怯えが浮かび、精神状態は最悪だった。

九条蓮は彼女を見下ろし、低い声で言った。「九条悠真を恨んでいるのか?お前がこうなったのはあいつのせいだ。もしあいつがいなければ、お前は今も高橋家の娘として、あの家の栄光を享受していただろう。」

その声は大きくもなく、ただ事実を淡々と述べているようだった。

高橋彩花の虚ろだった瞳に、徐々に光が戻ってきた。彼女は呟いた。「九条悠真……九条悠真のせいで、私、こんなふうになったのよ……あいつさえいなければ、私はまだ高橋家の大事なお嬢様だったのに……」

九条蓮の唇に嘲るような笑みが浮かんだ。

彼は高橋彩花を見つめたまま続けた。「美咲は今、病院で寝たきりだ。医者は、植物状態になっていて、もう目を覚ますことはないかもしれないと言っている。でも、君は復讐を果たしたと思っているのか?君の心を憎しみで満たしている相手は、本当に高橋美咲なのか?」

高橋彩花の表情がピクリと動き、完全に沈黙した。

彼女はわずかにまつげを伏せ、何を考えているのか誰にも分からなかった。

九条蓮は静かに視線を外し、そのまま背を向けて部屋を出ていった。

真壁直人が外で待っていた。九条蓮が出てくるのを見ると、すぐに駆け寄った。「九条様。」

九条蓮は淡々と言った。「高橋彩花を解放しろ。」

「えっ!?」

真壁直人はあまりのことに呆然とした。九条蓮がそんな決断を下すなんて信じられなかった。やっとの思いで捕まえた高橋彩花を、本当に解放してしまうのか?それでは今までの苦労が水の泡ではないか。

だが、真壁直人は九条蓮の命令に逆らうこともできなかった。

結局、真壁直人は高橋彩花を解放した。

解放された高橋彩花は、あてもなく街をさまよった。そのとき、テレビでは経済ニュースが流れていた。九条悠真がまた一つ取引を成功させ、意気揚々とインタビューに応じている。インタビュアーの女性は、彼に色目を使いながら質問を投げかけていた。

九条悠真も嫌な顔ひとつせず、楽しそうに会話を続けていた。

九条蓮の言葉が、高橋彩花の脳裏に再び浮かんだ。

——君の心を憎しみで満たしている相手は、本当に高橋美咲なのか?

今や高橋美咲は植物状態となり、自分は高橋家から追い出された。高橋正人の顔を見る勇気もなく、高橋グループのお嬢様という立場も失った。それなのに、九条悠真だけは何事もなかったかのように、他の女と軽口を交わしている。

本当の敵は高橋美咲ではなく、九条悠真だったのだ!

九条悠真……絶対に、九条悠真に復讐してやる!

高橋彩花の瞳には狂気と制御不能な感情が渦巻き、口元には不気味な笑みが広がった。

……

九条蓮は今も高橋美咲のそばにいた。

最近は、無理に医者を探し回ることもせず、植物状態の患者にするように、毎日マッサージをしたり、物語を語ったり、話しかけて寄り添う日々を送っていた。

真壁直人が病室のドアをノックして入ってきた。今回は、良い知らせを持ってきたようだった。