Chapter 93
そんな元カノ
外には月島瑠奈と望月麗奈がいた。
高橋美咲と九条凛は顔を見合わせ、すぐに派手な服装の二人の女性が少し離れた場所にいるのを目にした。
二人は同時に黙り込んだ。
九条凛の車の窓は濃いスモークが貼られていて、中の様子は外から全く見えない。月島瑠奈と望月麗奈も、車内に二人がいることには気づいていなかった。
外からは二人の声もはっきりと聞こえてきた——
月島瑠奈が眉をひそめ、不満そうに言った。「桜井奈緒に高橋美咲を探せって言われたけど、結局来てないじゃない!」
「もういいよ。探したけど、高橋美咲なんてどこにもいないし。」
「桜井奈緒は高橋美咲の弱みを握ってるって言ってたのに。本人が来なきゃ面白いものも見られないじゃん。」
「仕方ないよ。高橋美咲が来ないのが悪いんだし。さっき九条メディアの社長を見かけたから、今のうちにチャンスを掴まなきゃ!」
「うん、早く戻ろう。」
二人の声は徐々に遠ざかっていった。
高橋美咲の目に一瞬、冷たい光が走る。月島瑠奈と望月麗奈が口にした「弱み」という言葉が耳にしっかりと残った。
彼女はふと、桜井奈緒のあの動画がまだ手元にあることを思い出した。
誰かに頼らなくても、自分でやり返せる。あんなものがあれば、桜井奈緒にだって痛烈な一撃を食らわせられる!
もしここで倒れるようなら、それは高橋美咲じゃない。
彼女は昔から、絶対に負けを認めないタイプだった。困難にぶつかればぶつかるほど、ますます強くなる。こんな小さなことで落ち込んだり、絶望したりするはずがない。
桜井奈緒は九条悠真と幸せな婚約をしたい?
じゃあ、九条悠真があの動画を見た後でも、二人が笑顔で婚約を続けられるかどうか、見せてもらおうじゃない。
「凛、やっぱり気が変わった。」高橋美咲の瞳は燃えるように輝き、自信に満ちた笑みを浮かべて言った。「九条悠真の婚約パーティーに行くわ。」
…
桜井奈緒の前には、何人もの裕福な令嬢たちが羨望の眼差しを向けていた。
「わあ、桜井さん、婚約パーティーがドリームキャッスルなんて本当に羨ましい!私も前にお父さんに頼んで誕生日会をここでやろうとしたけど、全然予約できなかったの。」
桜井奈緒は軽く笑った。「全部悠真のおかげよ。私を一番幸せな花嫁にしたいって言ってくれて。」
「九条マネージャーって本当にすごいよね。うちの彼氏なんて全然ダメ。こんな盛大な婚約パーティーなんて、来世まで待たなきゃ無理だわ。桜井さん、前世で銀河でも救ったの?」
「コツを教えてよ!どうやったらそんな素敵な男性を見つけられるの?」
「そうそう、桜井さんだけの秘密にしないでよ。」
桜井奈緒は笑って答えた。「コツなんてないわ。悠真が私に一目惚れしただけ。」
「それは桜井さんが優しくて綺麗だからよ。」
その時、誰かがふと口を挟んだ。「そういえば、九条悠真には元カノがしつこく付きまとってるって聞いたよ。しかもその人を婚約パーティーに招待したんでしょ?トラブルにならない?」
高橋美咲の名前が出た瞬間、桜井奈緒の目に一瞬冷たい色がよぎった。
すぐにそれを抑え、困ったように言った。「どうしようもないの。彼女がどうしても諦めないって言うから。私たちの愛を見届けたいって言われて、仕方なく招待したの。」
桜井奈緒は本当に困っているように、優しく穏やかな雰囲気を漂わせていた。
そしてため息をつきながら言った。「実は、悠真が彼女と別れたのは、彼女が九条インターナショナルのマネージャーと関係を持ったからなの。浮気して悠真を裏切ったのよ。そういう動画まで手に入れてしまって……悠真があんな元カノに出会って本当に可哀想だと思う。」
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