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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 924 - 絶望の淵で(続き)

Chapter 924

絶望の淵で(続き)

自分は今、体調を崩して入院しているのに、九条悠真は「大事な用がある」と言って会いにも来てくれなかった。その「大事な用」というのが、高橋美咲の新店舗オープンの応援だったなんて。

いつの間に高橋美咲は、また九条悠真を自分の味方につけたの?

新商品で高橋美咲に負け、今度は自分の男まで奪われてしまった。高橋彩花は立て続けに大きなショックを受け、今にも爆発しそうだった。

高橋彩花は勢いよく体を起こし、「今すぐ彼のところに行く!」と叫んだ。

「でも、お体が……」と大庭理香は心配して止めようとした。

しかし高橋彩花は彼女の手を振り払い、怒りに満ちた声で「どいて!止めないで。あなたも私がこうなって当然だと思ってるの?」と叫んだ。

大庭理香は何も言えず、結局高橋彩花に付き従うしかなかった。

高橋美咲の新作コレクションが発表されて以来、誰もがその出来栄えを絶賛していた。

今回、安城朝陽がデザインした新作は、どれも繊細で美しく、イヤリングからネックレスまで計5点のジュエリーが揃っていた。大阪の社交界や富裕層の奥様たちはこの新作に夢中になり、次々と予約注文を入れ始めた。

一方、高橋彩花は新しいデザインを出せず、やがて誰も彼女のことを話題にしなくなった。

今や話題はすべてメゾン・ヴェルヌに集中し、高橋美咲はこの勢いを逃さず、すぐに新しい支店をオープンした。

今日はその新店舗のオープニングセレモニーの日だった。

思いがけず、彼女は予想外の人物と出会う。仕立ての良いスーツに身を包み、九条悠真が花束を持って高橋美咲の方へ歩み寄ってきた。彼は微笑みながら「美咲、新しい支店オープンおめでとう」と声をかけた。

高橋美咲は眉をひそめ、九条悠真がまた何を企んでいるのか分からずにいた。もう二度と自分の前に現れないように言ったはずなのに——

それなのに、またこうして花まで持って現れるなんて、いったい何を考えているのだろう。

その時すでに、高橋彩花は高橋美咲の店に到着していた。本当は九条悠真に詰め寄るつもりだったが、ふと「もしかして自分の勘違いかもしれない。九条悠真はただ美咲にお祝いを言いに来ただけかも」と思い直した。

結局のところ、彼女は九条悠真が自分を捨てるとは信じていなかった。

最初は打算で近づいたものの、今では本気で彼に惹かれてしまっていたのだ。

九条悠真は高橋美咲を見つめ、罪悪感に満ちた表情で優しく言った。「美咲、よく考えたんだ。やっぱり一番好きなのは君だって気づいた。僕のそばに戻ってきてほしい。ちゃんと愛するから。過去のことは全部なかったことにしよう。今は九条蓮と一緒に頑張ってるけど、女性がそこまで無理する必要はないよ。僕が君の安らぎになれる。」

九条悠真は、どうしても高橋美咲を手放したくなかった。最近の高橋美咲の活躍ぶりや、メゾン・ヴェルヌの繁盛ぶりは高橋グループをはるかに上回っていた。

彼女の実力は高橋彩花よりも上で、九条悠真はそんな女性を自分のそばに置きたいと感じていた。

高橋美咲が今は九条蓮と一緒にいることも、冷たい態度を取られていることも分かっていたが、新店舗オープンの話を聞いて、どうしても足を運ばずにはいられなかった。

さっき、高橋美咲がそこに立っているのを見た瞬間、あまりの美しさに目が離せず、気がつけば彼女のもとへ歩み寄り、復縁を申し出ていた。

しかし、その言葉を口にしても、後悔はなかった。

九条悠真は真剣な眼差しで高橋美咲を見つめ、返事を待った。

高橋美咲は、九条悠真が突然現れたのは何か企みがあるのかと思っていたが、まさかこんな白々しい言葉を並べてくるとは思わなかった。

ちょうど言い返そうとしたその時、彼女は少し離れた場所に高橋彩花が隠れているのを見つけた。