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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 897 - 彼女を九条蓮に押し付ける(続き)

Chapter 897

彼女を九条蓮に押し付ける(続き)

そんな場では、何が起こるかわからない。

高橋美咲があんな光景を見たらどう思うのか、九条悠真には想像もつかなかったが、彼はすでにその反応を楽しみにしていた。

冷たい笑みを浮かべ、九条悠真は高橋彩花をぐっと腕の中に引き寄せ、顔を近づけて彼女の頬に強くキスをした。「お前にも少しは頭があるとは思わなかったな。大きな手柄だ。ちゃんと報いてやるよ。」

高橋彩花は嬉しそうに九条悠真に腕を回し、「悠真さん、私はあなたのそばにいられればそれだけで十分です」とささやいた。

九条悠真は拒まなかった。どうせ遊びに過ぎない。高橋美咲を手に入れたら、高橋彩花とはその後で別れればいい。

二人はそれぞれ胸の内に思惑を秘め、九条蓮と高橋美咲への策を密かに練っていた。

その頃、高橋美咲は自分と九条蓮がすでに九条悠真の標的になっていることなど知る由もなかった。最近の高橋美咲は、メゾン・ヴェルヌの新作発表会の準備で忙しくしていた。

安城朝陽がメゾン・ヴェルヌに加わってから、まだ一つもデザインを仕上げていなかった。

デザインというのは、やはりインスピレーションが必要だ。時には、何も思い浮かばず一日中ぼんやりしてしまうこともある。安城朝陽はそのことに強い罪悪感を抱き、高橋美咲に申し訳なく思っていた。

だが、高橋美咲はまったく不満を見せず、逆に安城朝陽を気遣い、「あまり気にしないで」と励ました。さらに三日間の休みを与え、外に出て気分転換してくるよう勧めた。

そうすれば、何か新しいインスピレーションが得られるかもしれない。

あっという間に二日が過ぎた。

高橋ジュエリー。

大庭理香が高橋彩花に向かって言った。「高橋マネージャー、今回連れてきたデザイナーの作品、本当に素晴らしいですよ。」

高橋彩花は完成したサンプルを見て、目に満足そうな色を浮かべた。

大庭理香がデザインの天才を雇ったと言っていたが、最初は半信半疑だった。しかし、まさかここまでの出来栄えになるとは思わなかった。高橋彩花は心から満足していた。

やっと、この期間で嬉しいことが一つできた。

……

高橋美咲はメゾン・ヴェルヌの旗艦店に到着し、新作発表会の準備に取りかかった。

スタッフたちはすでに会場の設営を終えており、ショーケースには新作ジュエリーが美しく並べられている。

高橋美咲は一つ一つの展示を丁寧に確認し、細部まで気を配った。

「美咲さん、メディアの方々がもうすぐ到着します。」スタッフの一人が声をかける。

「ありがとう。受付の準備もお願いね。」高橋美咲は微笑んで答えた。

彼女は深呼吸し、今日の発表会が成功することを心から願った。

ついに、この期間で彼女を喜ばせる出来事があった。

これらの新商品が発売されれば、必ずや高橋美咲のメゾン・ヴェルヌを圧倒できるはずだ。

彼女は言った。「すぐに新商品を発売して。今まで失ったお客様を全部取り戻したいの。」

何かを思い出したように、大庭理香が言った。「高橋部長、高橋美咲のメゾン・ヴェルヌ本店も今日新商品を出すみたいです。うちも今日出しませんか?もしかしたら高橋美咲を叩き潰せるかも!」

高橋彩花はそれを聞いて笑った。「悪くないアイデアね。その方向でいきましょう!」

そう言ってから、彼女は時間を確認した。「この件はあなたに任せるわ。私はこれから大事な用事があるの。」

そうして高橋彩花は踵を返して去っていった。

彼女は九条悠真と一緒に投資カンファレンスへ向かう予定で、今はこんな細かいことに構っている暇はなかった。

同じ頃、高橋美咲は店内で新商品の発表準備を進めていた。これまで築いてきた評判のおかげで、今日のイベントにも多くの人が集まり、メゾン・ヴェルヌの店内は特に賑やかだった。