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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 882 - 高橋彩花、ファッションショーで大暴れ

Chapter 882

高橋彩花、ファッションショーで大暴れ

九条悠真も今日は目的があって来ており、ビジネスモードで責任者と握手を交わした。

「うむ。」と軽く頷き、九条ホールディングスの御曹司らしい雰囲気を漂わせている。

その地位を考えれば、普段なら九条悠真がこのような場所に現れるだけで、責任者は顔が割れそうなほどの笑顔で、必死にご機嫌を取ろうとするはずだ。

九条悠真が少しでも好意を見せれば、責任者はそれだけで舞い上がるほどだった。

名家の若様が自分たちのような一般人に好意を示すなど、ほとんど奇跡のようなもの。責任者はますます丁重に九条悠真をもてなした。ショーのオートクチュールはどれも高額だ。

もし九条悠真が機嫌よくなって、気まぐれで新作コレクションを丸ごと買い上げてくれれば、半年分の売上目標も達成できる。

責任者の目には、九条悠真がまるで福の神のように映っていた。九条悠真はそんな内心を知る由もなく、むしろその態度に満足していた。

これならいざ協力の話を持ちかけても、きっとスムーズに進むだろうと考えていた。

九条悠真がこれほどまでに外で顔が利くのを見て、高橋彩花は思わず背筋をぐっと伸ばし、顎も空に向かんばかりに上げて立っていた。

今回のターゲットはやはり正解だった。九条悠真に取り入ったことで、自分の格もぐっと上がった。

その時、周囲の女性たちが羨望の眼差しを向けてくると、高橋彩花は平然とした素振りを装いながらも、内心ではこの優越感を大いに楽しんでいた。

最近はまるで血塗られた不運に取り憑かれたかのように、何をやってもついていなかった。

何度も高橋美咲の影に押し潰されてきたが、ようやく溜まった鬱憤を晴らせた気がした。

その時、不意に視界の端に見覚えのある人影が現れ、高橋彩花の表情が一変。すぐに九条悠真の腕を離し、その人物を追いかけていった。

九条悠真は一瞬呆気に取られ、なぜ高橋彩花があんなに動揺したのか分からなかった。

ショーの責任者も明らかに戸惑いを見せ、九条悠真の様子を見てためらいがちに言った。「九条様、あちらはモデルの控室とメイクエリアでして、関係者以外は立ち入り禁止となっております。お連れの女性が……」

責任者はそこで言葉を切り、困ったような顔で九条悠真を見た。

九条悠真も少し気まずそうな表情を浮かべた。今や高橋彩花は自分の同伴者なのだから、彼女が恥をかけば自分も同じく恥をかくことになる。

ショーの責任者の前で、面目丸つぶれだ。

高橋彩花の無鉄砲な行動に、九条悠真は少し苛立ちを覚え、その瞬間ふと高橋美咲のことを思い出した。

同じ高橋家の娘でも、高橋美咲はいつも公の場で礼儀正しく、立ち居振る舞いも申し分ない。それに比べると高橋彩花は天と地ほどの差がある。

どう見ても、高橋彩花は高橋美咲には到底及ばない。

ただ、高橋美咲は今や九条蓮のものとなり、自分には強い拒絶の態度を示している。高橋彩花とは関係を持ったものの、やはり本物には遠く及ばない偽物のように感じてしまう。

九条悠真は心の中の思いを抑え、ショーの責任者に「たぶん連れが知り合いを見かけて挨拶に行っただけでしょう。今日のショーに支障はありませんので、ご心配なく。何かあれば私が責任を取ります。」と告げた。

それを聞いて、責任者はようやく安堵の息をついた。

今日は大手ブランドのショーということもあり、来場者も錚々たる顔ぶれだ。ここでトラブルが起きれば、自分の立場も危うくなる。

「九条様、どうぞこちらへ。」責任者はすぐに九条悠真を席へ案内した。

九条悠真も高橋彩花の様子を見に行きたかったが、今は席を離れるのも難しい。考えた末、結局高橋彩花のことは放っておくことにした。今日は目的があるのだ。