Chapter 880
高橋彩花と九条悠真がくっつく(続き)(続き)
高橋美咲に少し似たこの顔を前にすると、九条悠真も時折ぼんやりすることがあった。今や彼はすべてを手に入れ、九条蓮を追い出して九条家の新たな後継者となった。
高橋美咲が昔、九条蓮と結婚したのは、その地位と立場が目当てだったのでは?今はただ、彼と九条蓮の立場が入れ替わっただけ。
昔の自分と比べて、今の九条蓮の方がよほど落ちぶれている。なら、なぜ高橋美咲を取り戻して自分の元に戻せない?
なぜか、九条悠真の心に珍しく罪悪感が芽生え、高橋彩花を食事に誘った。
「今度、二人きりで食事に行こう。」
高橋彩花はその言葉を聞いた瞬間、ぱっと顔が明るくなり、さっきまでの不満も一気に吹き飛んだ。
「うん、絶対約束だよ。」
「悠真、だいすき。」そう言って彼に唇を重ね、二人は激しくキスを交わした。
九条悠真を手に入れた高橋彩花は、最高の気分だった。メゾン・ヴェルヌに新店舗の経営を圧迫されて全く立ち行かなくなっているのに、全然焦っていない。毎日、アシスタントが売上データを持ってきては焦って相談してくるが、高橋彩花はまるで気にしていなかった。
九条悠真のことを考えると、時々うっとりとした笑みを浮かべてしまう。
「店長、新店舗の売上が過去最低を記録しました。このままだと高橋部長に知られたら絶対怒られますよ。今のうちに損切りした方が…」
もともと高橋美咲の店を潰すため、同時オープンにこだわり、物件確保からプロモーションまで高橋彩花はかなりのリソースを注ぎ込んでいた。投資額も相当なものだった。'],
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彼女は胸を張って父親に「このプロジェクトは絶対に儲かる」と保証していたのに、今や店の業績は散々で、利益どころか元本すら回収できそうにない。
高橋グループはこの程度の損失で困るような会社ではなかったが、高橋美咲がまだ会社にいた頃、彼女が手掛けたプロジェクトや実績は社内の誰もが認めていた。
高橋グループに多くの利益をもたらしただけでなく、彼女自身もとても付き合いやすい存在だった。
比べてしまえばその差は歴然で、この一件の後、高橋彩花の社内での評価は「社長令嬢」という肩書きだけになってしまった。
高橋部長があまりにも上の空なので、大庭理香は思わずため息をついた。
「部長、このままじゃ会長に知られたら、きっと大目玉ですよ。」
大庭理香がそう言い終わるや否や、高橋彩花のデスクの電話が鳴った。彼女は受話器を取り、耳を傾ける。
「今すぐ私のオフィスに来なさい。」それは高橋正人だった。
高橋彩花は大庭理香を睨み、「本当に縁起でもないこと言うんだから」とぼやいた。
「じゃあ、これから上に行って怒られてくるわ。」
怒られたところでどうってことない。今や自分は九条悠真の彼女。将来九条家の若奥様になれば、父が高橋グループをさらに大きくしたい時は、まず自分の顔色をうかがうことになる。
だから高橋彩花は全く動じていなかった。
高橋正人は売上報告書を見て、あまりのひどさに心臓が爆発しそうなほど怒りがこみ上げていた。
高橋彩花が部屋に入るなり、彼は何の前触れもなく書類の束を彼女の頭めがけて投げつけた。
「自分で見てみろ。この店を続ける意味があると思うか?」
「せっかくのブランドを、こんなふうにしてしまって。会社は前後でこれだけ投資したのに、全部水の泡だ。」
今や九条悠真と付き合っている高橋彩花は、以前よりもずっと自信満々に父親に言い返した。
「お父さん、このくらいの損失、高橋グループにとっては大したことないでしょ?」
「九条家が適当に一つプロジェクトを回してくれれば、こんなの十倍はすぐに取り返せるよ。こんな小さなことで私を叱るつもり?」
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