Chapter 88
専業主婦として家にいる
でも、もうすぐ自分は九条悠真と婚約する。
そうなればすべてが決着し、高橋美咲に九条悠真を奪われる心配もなくなる。
高橋美咲はドレスをレンタルした後、九条凛の運転で自宅マンションまで送ってもらった。
その後数日間は、毎日九条インターナショナルに通って絵を描いた。九条悠真も桜井奈緒も忙しいのか、二人に会うことはなかった。
そのおかげで、少しは気が楽になった。
ただ、九条蓮はまだ出張から戻っていなかった。高橋美咲は、九条悠真の婚約式の日までに彼が帰ってこられるのか、少し不安になった。
九条凛は「絶対に九条蓮は戻ってくる」と断言してくれた。
高橋美咲は親友の言葉を信じ、同時に九条蓮のことも信じることにした。
その後の日々、高橋美咲は一人きりで、絵を描き、家に帰り、ご飯を食べて寝るという、まるで三点セットのような生活を送った。九条蓮からは時々メッセージが届いたが、ほとんどは忙しそうだった。
九条蓮は取引先に同行していて、気軽にやり取りできる状況ではないと分かっていたので、高橋美咲もあまり連絡しなかった。
あっという間に、九条悠真と桜井奈緒の婚約式当日がやってきた。
その朝早く、高橋美咲と九条凛は吉田美玲スタジオで、プロの手による華やかなヘアメイクを施してもらい、一緒に車に乗って会場へ向かった。
九条悠真と桜井奈緒の婚約披露宴は、東京の牡丹園で行われる。
牡丹園は、夢のような洋館の中にある。
この洋館は、特別な来賓しか受け入れない。一般人がここで結婚式を挙げることなど到底できず、身分の高い者だけが予約できる場所だ。
助手席に座った高橋美咲は、窓の外を流れていく景色を眺めながら、自然と緊張してきた。
いよいよ決戦の時が近づいているのに、九条蓮はまだ現れていない。
高橋美咲は九条凛の方を向き、不安げに「凛、本当に九条蓮はもう東京に戻ってきてるの?間違いない?」と尋ねた。
彼が一番のキーパーソン。今ここにいなければ、高橋美咲はどうしても落ち着かなかった。
九条凛は胸を叩いて誓った。「大丈夫、昨夜もう帰ってきたよ。兄をうまく別の場所に誘導してあるから、すぐに来るはず。」
その言葉を聞いて、高橋美咲の心はようやく完全に落ち着いた。
これで本物の九条蓮が現れて正体がバレる心配もない。堂々と偽の九条蓮を使って、九条悠真に一泡吹かせることができる。
ドリームキャッスル。
会場はすでに夢のような美しい空間に飾り付けられていた。庭中に咲き誇る牡丹が華やかさを競い合い、バルーンやシフォンの装飾がきらびやかで、ロマンチックな雰囲気に満ちていた。そこにいるだけで甘い空気を感じるほどだった。
九条悠真は今日、白いスーツ姿で、ひときわ端正で目を引く。
桜井奈緒は彼の隣に立ち、来賓の出迎えをしていた。
桜井奈緒が今日着ているのは、有名デザイナーによる白のオートクチュールドレス。細かなダイヤモンドがあしらわれ、ライトの下で眩い輝きを放つ。大胆なスリットが彼女の曲線美を際立たせ、妖艶でセクシーだった。
全体的に華やかさが際立ち、二人はまさに絵に描いたような美男美女のカップルで、誰が見てもお似合いだった。
この婚約披露宴を機に、九条悠真は財界の大物やエリートたちを多数招待していた。彼らは有名人を連れてきており、次々と著名人が登場するたび、現場の記者たちはシャッターを切り続けていた。
少し離れた駐車場には、目立たない車が一台停まっていた。
車窓越しに、高橋美咲は九条悠真と桜井奈緒が来賓を迎えている様子を見ていた。
彼女はスマホを確認した。まだ時間は早く、九条蓮も到着していないので、急いで中に入る必要はなかった。
高橋美咲は「もう少し待とう」と言った。
九条凛も異論はなく、スマホを取り出して九条蓮に「いつ着くの?」とメッセージを送った。すべての準備は整っている。あとは彼だけだった!
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