Chapter 875
九条蓮が見下される(続き)
今や高橋花が高橋家の奥様となったため、当然彼女も高橋正人と一緒にカクテルパーティーに出席していた。
娘の姿を見つけると、すぐに手を振って呼び寄せた。
「彩花、こっちよ。」
高橋正人は厳しい表情を崩さず、「もう会社の幹部なんだから、そんなに落ち着きがないのはどうかと思うぞ」と言った。
長女と比べると、やはり彩花はまだまだだと感じていた。
ただ、それは心の中で思うだけで、母娘の前では口にしなかった。
それを察した高橋花は、慌てて娘をかばうように口を挟んだ。
「彩花は普段はとても落ち着いているのよ。きっと道が混んでいたか、何かトラブルがあったんでしょう。」
「遅刻してないんだから、来てくれただけで十分じゃない。」
今日は大事なカクテルパーティーだし、高橋正人も母娘とあまり言い争いたくなかった。騒ぎになれば自分の顔に泥を塗ることになる。
彼はワイングラスを手に他の客のもとへ挨拶に行き、彩花を連れて行くこともなかった。
高橋花は、ずっと前から九条悠真のことを娘のために気にかけていた。会場でも彼の動向を見張っていた。
「彩花、早くいらっしゃい。九条悠真さんがあそこにいるわ。」
「このチャンスを逃しちゃだめよ。私たち母娘が高橋家で本当に地位を築けるかどうか、あなたにかかってるんだから。」
高橋彩花はうなずいた。
九条悠真には何度か会ったことがある。確か、あのクソ女高橋美咲の元カレで、後から浮気して彼女を捨てた男だったはず。
以前はこんな男なんて見下していたが、今は違う。九条悠真は九条家の新しい後継者。立場がまるで違う。
それに、高橋美咲が浮気されたのは、あいつ自身が無能で男を繋ぎ止められなかったから。自分は違う。
高橋彩花は自信満々に微笑んだ。
「ママ、心配しないで。私、高橋美咲みたいな負け犬じゃないから。男の扱いなら任せて。」
「いい知らせを待っててね。」
遠くからでも、九条悠真は高橋美咲と九条蓮のラブラブぶりを見せつけられ、気分が最悪だった。ワイングラスを手に一人で酒をあおり、誰とも関わりたくなかった。
今や自分は九条家の後継者。都内で自分を見下す者などいるはずがない。
だが酒を飲んでも、心の中のモヤモヤは晴れるどころか、ますますひどくなった。
高橋美咲――あいつは一体何なんだ。
世の中には女なんていくらでもいるし、もっと美人で賢い女だってたくさんいる。
高橋彩花も、通りかかったスタッフからシャンパンを受け取り、色っぽい足取りで九条悠真のもとへ近づいた。
「こんばんは、悠真様。」
九条悠真は誰かが言い寄ってきたのに気づいたが、面倒くさそうに顔も向けず、高橋彩花を一瞥すらしなかった。
だが高橋彩花は、こういう場面には特に粘り強かった。軽く笑い、九条悠真の視線の先――階下の二人に目をやった。
高橋美咲の姿を見つけると、嫉妬の色が一瞬だけ目に浮かび、すぐに隠した。
「お姉ちゃんの男の趣味って本当に最悪。」
「九条蓮なんて、悠真様の十分の一にも及ばないわ。もしかして、別れる前から九条蓮と浮気してたんじゃない?」
「だからあんなに早く結婚できたのかも。」
九条悠真の手が、ほんのわずかにワイングラスを強く握った。すぐには返事をしなかったが、高橋彩花の言葉はしっかり耳に入っていた。
「君も高橋家の娘なのか?」
ようやく口を開いてくれたことに、高橋彩花はチャンスだと思い、わざと彼に身を寄せた。
「そうよ。」
九条悠真も高橋彩花の存在は知っていたが、特に印象はなかった。彼は顔を向けて彼女を見た。
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