Chapter 866
助けてくれたのは九条会長だった
大庭理香はしばらく戻ってこず、状況がどうなっているのか分からない。
高橋彩花はその場で落ち着かず、そわそわと心配していた。
やがて大庭理香が戻ってきた。高橋彩花は待ちきれずに「高橋美咲の店はどう?全然人いないでしょ?」と尋ねた。
大庭理香はその問いに、少し複雑な表情を浮かべた。
高橋彩花は大庭理香の様子を見て、すぐに何かおかしいと察し、「隠さないで、早く言って。何があったの?」と急かした。
「彩花店長、さっき……さっき結構な人数が高橋美咲の店に流れていきました」
その言葉に高橋彩花は眉をひそめた。多くの人が高橋美咲の店に?まさか、サクラでも雇って賑やかに見せかけているのでは?
高橋彩花が皮肉を言おうとしたその時、大庭理香が続けた。「日向美亜さんも行きましたし、柏木真理子さんも、それから……」
大庭理香はさらに何人かの名前を挙げていき、高橋彩花は聞けば聞くほど顔色が冷たくなっていった。
どの人も影響力が大きすぎる。まさか全員が高橋美咲の店に集まるなんて。これでは比べ物にならない!
くそっ、高橋美咲、どこでそんなコネを?
その時、大庭理香が突然叫んだ。「大変です!彩花店長、うちの宣伝で集めたお客さん、みんな豊洲ハーバーモールの方に流れちゃいました!」
高橋彩花が外に出てみると、さっきまで賑わっていたはずの場所が一気に閑散としていた。
やっぱり、みんな本当にいなくなっていた!
「どういうことよ!」高橋彩花は悔しさで足を踏み鳴らし、歯ぎしりしながら「何ぼーっとしてるの、早く調べてきて!」と命じた。
大庭理香は慌てて様子を見に行った。
10分後、大庭理香が戻ってきて、困った顔で「彩花店長、もう調べました。どうやら向こうで何かあったと聞きつけて、みんな流れていったみたいです。高橋美咲の店には有名人も多いし……白石朗さんまで行って、先輩方に挨拶してました」と報告した。
今度こそ高橋彩花は完全に動揺し、顔色が青ざめたり真っ白になったりした。
高橋美咲……!
まさか店を奪われても、オープンに間に合わせ、しかも自分より良い立地を手に入れ、さらには開店セレモニーまで圧倒されるなんて。
絶対に認めたくない!
だが、すでに外は閑散としてしまい、どんなに高橋彩花が悔しがっても、店がどんどん寂れていく現実は変えられなかった。
その頃、高橋美咲も、まさかこんなに多くの人が来てくれるとは思っていなかった。有名人の中には九条蓮が招いた人もいたが、正体を明かせない大物もいて、誰が手を回してくれたのか分からないままだった。
ついに開店セレモニーも終盤に差し掛かり、高橋美咲は我慢できず柏木真理子のもとへ向かった。
「あの、柏木さん。今なら、誰があなたを呼んだのか教えていただけますか?」
柏木真理子は口元に微笑みを浮かべ、ついに答えを明かした。「もう十分じらしたわね。そろそろ教えてあげる。私を呼んだのは……九条会長よ。夫に頼んで、あなたの開店セレモニーに必ず出席して応援するようにって」
えっ!
高橋美咲は目を見開き、信じられない思いだった。本当に九条会長が助けてくれたの?
高橋美咲は、あらゆる可能性を一通り考えてみたものの、まさか自分を助けてくれたのが九条家の大旦那様だったとは、夢にも思わなかった。
これまで九条家の大旦那様から受けてきた偏見や反対を思い出すと、胸の奥に何とも言えない感情が湧き上がり、しばらく言葉が出てこなかった。
高橋美咲はすぐに気持ちを切り替え、森川茉莉に柏木真理子のそばにいてもらうよう頼むと、急いで脇に移動して電話をかけた。コールが2回鳴っただけで電話はつながり、九条蓮の低くて心地よい声が耳元に響いた。
「今日のオープン、どうだった?」
You might also like




