Chapter 863
同日グランドオープン
今回の新店舗オープンにあたり、高橋彩花は本当に一切の妥協をしなかった。見た目の良い販売員を全員ここに集めただけでなく、大庭理香に頼んで有名人も多数招待していた。
今、ジュエリーショップの前はまさにスターの輝きで溢れ、有名人たちがひしめき合い、ついにはショッピングモールの警備員まで出動して秩序を保つほどだった。
人混みの中には、招待された有名人のファンも多く、スターたちの到着を見ては興奮気味にひそひそと話し合っていた。
「うそ、あれって女優の梁さんじゃない?」
「最近すごく忙しいって聞いてたのに、高橋ジュエリーがよく呼べたよね。」
「わあ!白石朗まで来てる!」
突然、現場に黄色い歓声が巻き起こった。多くのファンが、きちんと着飾った男性がゆっくりと歩いてくるのを見つめていた。彼は胸元の開いたスーツを着こなし、鎖骨には高橋彩花の新作ジュエリーが輝いていて、ひときわ目を引いていた。
彼こそが、今大人気の若手俳優・白石朗。現場の女性ファンたちは白石朗の姿を見て、今にも気絶しそうなほど興奮していた。
現場の記者たちはシャッターを切る手を止めず、会場の熱気はさらに高まっていった。
白石朗は高橋彩花のもとへ歩み寄り、丁寧に「高橋部長」と声をかけた。
「ようこそ。記念写真を一緒に撮りましょう。」
白石朗が巻き起こした大騒ぎを見て、高橋彩花の口元には満足げな笑みが浮かんだ。さらに白石朗が自分に敬意を払う態度を見せたことで、彼女の満足感は一層高まった。今回大庭理香が招待した有名人たちはどれも素晴らしく、彼女は大いに満足していた。時間ができたら、ぜひ大庭理香をしっかり労ってやろうと思った。
2人は店頭のディスプレイボードの前に並び、フラッシュが絶え間なく焚かれた。
その頃、外では大庭理香が高橋彩花と有名人たちの撮影を見守りながら、焦りでその場をぐるぐる回っていた。彼女はすでに先ほど、高橋彩花に伝えようとここに来ていたのだ。豊洲ハーバーモールで高橋美咲がメゾン・ヴェルヌの大型店舗を最高の区画にオープンし、しかも今日がグランドオープンだという、まさに衝撃的なニュースを。
大庭理香が隣で足踏みしているのを見て、高橋彩花は彼女が白石朗を見て興奮しているのだと勘違いした。
大庭理香も白石朗のファンだったのか。だから彼を招待したのだろう。でも白石朗がこれだけの話題を呼んでいるのだから、今回は大庭理香のことをとやかく言うのはやめておこう。後で彼女にも白石朗との記念写真を撮らせてあげよう。
高橋彩花が白石朗との撮影を終えると、大庭理香はすぐにでも駆け寄ろうとした。だが、他の有名人たちも次々と集合写真を撮りに来てしまい、大庭理香はまたしても待つしかなかった。
まだ終わらないの?
大庭理香は気が気でなかった。こういう話は大声で言えることではなく、どうしても高橋彩花に個人的に伝えなければならない。だが今は有名人に囲まれていて、どうしても近づけなかった。
ようやく高橋彩花が一息ついたタイミングで、大庭理香はすかさず駆け寄った。「高橋部長!」
高橋彩花は大庭理香を見て、「ずいぶん待たせたわね。さあ、写真を撮ってきなさい。白石朗と?それとも梁さんと?」と声をかけた。
「違うんです…」と大庭理香は慌てて言った。「さっき豊洲ハーバーモールに行ったら、高橋美咲のメゾン・ヴェルヌの店舗がオープンしてました!」
ようやく言いたかったことを伝えられて、大庭理香はほっと肩の力を抜いた。
ついさっきまで満面の笑みだった高橋彩花の表情が、大庭理香の言葉を聞いた瞬間、凍りついた。彼女は勢いよく大庭理香を振り返り、声のトーンまで変わった。「今、なんて言ったの?」
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