Chapter 860
九条蓮の足にしがみついて(続き)
「豊洲ハーバーモールは丸の内プロスパーセンターよりずっといいし、見た目も高級感があるよ。もし丸の内プロスパーセンターに旗艦店を出せたら、メゾン・ヴェルヌってすごくハイブランドだって思われるはず。」
小さなモールに入っているブランドと、大きなモールに入っているブランドでは、確かに人々の印象がまるで違う。
高橋美咲は森川茉莉の言葉を聞いて、目に喜びが浮かんだ。
だが森川茉莉は続けた。「でも今回は豊洲ハーバーモール、すごく秘密主義なんだよね。内部情報も全然公表してないし。丸の内プロスパーセンターはあんなに派手にやってるのに。きっと何か考えがあるんだと思う。」
高橋美咲は軽くうなずいた。どうりで一言も噂を耳にしなかったわけだ。
彼女はずっと丸の内プロスパーセンターのニュースを細かくチェックしていた。
でも今は豊洲ハーバーモールがある。誰だって、より良い方を選ぶに決まってる!
高橋美咲は興味津々で尋ねた。「そんなに秘密なのに、どうやって知ったの?」
森川茉莉はにっこりして言った。「たまたま丸の内プロスパーセンターの幹部たちが話してるのを聞いちゃって、それで豊洲ハーバーモールのせいで入札を早めたって分かったんだ。」
高橋美咲はそれ以上は深く追及しなかった。
今回の件は少しヒヤッとしたけど、思いがけず良い方向に転んだ。全部九条蓮のおかげだ。もし彼がいなかったら、いつまでも落ち込んでいたかもしれない。
森川茉莉が裏事情に詳しいのを見て、九条蓮も満足げにうなずいた。これで自分が説明する手間も省けた。
さっきまで少し落ち込んでいた相沢紫苑も、森川茉莉の話を聞くとすぐに嬉しそうに笑顔になった。「じゃあ、うちの店は高橋彩花の丸の内プロスパーセンターの店より、もっといい場所になるってこと?」
「そう言えるな。」と九条蓮が答えた。
高橋美咲は九条蓮を見て、感謝の気持ちを込めて言った。「九条蓮、本当にありがとう。」
九条蓮はまた高橋美咲にお礼を言われるとは思っていなかった。二人の間にお礼なんていらないのに。
九条蓮の表情を見て、高橋美咲は思わず笑った。「つい癖でありがとうって言っちゃうの。でも、あなたには遠慮しなくていいって分かってるよ。だって、あなたは私の夫だもん。」
その一言に九条蓮はとても満足し、周りに人がいるのも気にせず高橋美咲を引き寄せてキスをした。
森川茉莉と相沢紫苑は、いきなり目の前でイチャイチャを見せつけられた形になった。
二人は呆れるしかなかった。会社でも高橋美咲と九条蓮のラブラブぶりを見せつけられているのに、外でもこれとは…世の中不公平すぎる。
自分たちも彼氏を作って恋愛しなきゃいけないのかな、なんて思ってしまう。
九条蓮は高橋美咲を離し、「でも豊洲ハーバーモールは丸の内プロスパーセンターほど工事が早くないから、もう少し待つことになる。焦らなくていい。」と言った。
高橋美咲はもう焦る気持ちはなかった。将来豊洲ハーバーモールに出店できると分かって、嬉しさで胸がいっぱいだった。
「大丈夫。ゆっくり待てるよ。」
丸の内プロスパーセンターの入札から1か月後、各ブランドが改装工事を始めた。
高橋彩花も改装の進捗を見に来ていた。大庭理香が隣で言った。「高橋マネージャー、やっぱりすごいです。お金で高橋美咲が落札した店舗を奪っちゃうなんて。彼女、今は一つも店舗がないらしいですよ。もう空きもないし、いい場所も見つからなかったみたいです。」
ふと高橋彩花は何かを思い出したように、「私が頼んだ芸能人たち、ちゃんと押さえてある?」と尋ねた。
大庭理香はすぐにうなずいた。「もちろんです!今回はたくさんの芸能人に応援に来てもらいました。オープニングセレモニーは絶対に完璧になります。」
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