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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 858 - 一方的な契約違反

Chapter 858

一方的な契約違反

これで失敗するはずがないと確信していた。

前回の東都キャピタルの件は、自分が油断して他人を信用しすぎたせいだった。今回は最初からお金で全て解決する。

お金だけは決して裏切らない。

……

その夜、火鍋店にて。

高橋美咲は森川茉莉や相沢紫苑たちと食事をしていた。最初は色々な店を検討したが、みんなの好みがバラバラだったため、最終的に誰でも楽しめる火鍋に決まった。

個室の雰囲気はとても和やかだった。高橋美咲が手に入れたのは小さな店舗だったが、メゾン・ヴェルヌにとっては良いスタートだった。

「社長、乾杯させてください!」相沢紫苑がグラスを掲げた。

高橋美咲が飲み干したちょうどその時、テーブルの上の携帯が鳴った。画面を見ると、ショッピングモールの管理スタッフからの電話だった。

なぜか胸騒ぎがした。何かあったのだろうか。

高橋美咲は「ちょっと電話に出てくるね」と言って席を立った。

そう言って、火鍋店の個室を出て入口付近で電話に出た。

「もしもし、柏木さん。こんな遅くにお電話とは、何か問題でも?」高橋美咲はスワイプして通話を開始し、丁寧な口調で尋ねた。

電話の向こうから柏木さんの声がした。「高橋さん、誠に申し訳ありませんが、A21号店舗に関して問題が発生し、契約を継続できなくなりました。」

高橋美咲は眉をひそめた。契約を継続できないとはどういう意味だろう。

すでに契約書にサインしているはずだ。それなら一方的な契約違反ではないか。

高橋美咲が問いただす前に、柏木さんが続けた。「違約金については契約書に記載の金額をお支払いし、契約は無効とさせていただきます。」

高橋美咲は深く息を吸い、必死に怒りを抑えた。

落ち着いた声で「柏木さん、具体的にどんな問題があったのでしょうか?」と尋ねた。

柏木さんは高橋美咲が怒ると思っていたが、思いのほか冷静な態度だったので、少し説明を加えた。「実は、A21号店舗を気に入った方がいらっしゃいまして、あなたより高い金額を提示されたのです……」

高橋美咲は、誰がその「方」なのか、ほとんど考えるまでもなかった。オークション会場で顔を合わせたのは高橋彩花だけだったからだ。

もう高橋彩花に邪魔されることはないと思っていたのに、最後の最後でまた横取りされた。

高橋美咲は我慢強く「A21号が無理なら、他の店舗を選ばせてください」と頼んだ。

もし足りなければ、少し上乗せしてもいい。最悪、これからもっと頑張ればいいだけだ。

「ええと……高橋さん、正直申し上げますと、うちの店舗は非常に人気がありまして、あの日も多くの方が競り合っていました。今はもう空きがなく、お貸しできる店舗がございません。本当に申し訳ありません。契約違反の件はご連絡差し上げたので、手続きを開始いたします。ご返金は3営業日以内にお振込みいたします。」

そう言うと、マネージャーは高橋美咲が食い下がるのを恐れてか、そのまま電話を切ってしまった。

耳元でプープーという音が鳴る中、高橋美咲は思わず小さく悪態をついた。

高橋美咲が個室に戻ると、彼女の表情があまり良くないことに気づいた人が何人もいた。

九条蓮が心配そうに尋ねた。「どうしたんだ?何かあったのか?」

さっきまで普通だった高橋美咲が、電話を受けて戻ってきた途端に不安そうな顔をしている。きっとあの電話が原因に違いない。

高橋美咲はため息をついて言った。「あの店舗のことなんだけど……」

「今日、無事にあの店舗の入札に成功したでしょ?さっき担当者から電話があって、私の店舗を気に入った人がいるって言われたの。」