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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 854 - 高橋美咲、思いがけない人物と遭遇(続き)

Chapter 854

高橋美咲、思いがけない人物と遭遇(続き)

彼女は冷たく鼻で笑い、「彩花、心配しなくていいわ。ここは私に任せて」と言った。

電話を終えた高橋彩花は、ようやく安心して席に戻った。大庭理香がどうだったか尋ねると、高橋彩花は自信たっぷりに「大丈夫。高橋美咲にはもう援護はないわ」と微笑んだ。

……

その頃、高橋正人はちょうどトイレから出てきたところだった。会場に戻ろうとした時、高橋花から電話がかかってきた。

彼は電話に出た。「どうした?何かあったのか?」

「正人さん、急にすごくめまいがして……少し戻ってきてくれない?」と高橋花の弱々しい声が聞こえてきた。

高橋正人はすぐに眉をひそめた。高橋花は普段とても健康で、滅多に体調を崩さない。どうして急に頭痛がするのか。

少し迷ったが、「今オークションで忙しいし、もうすぐ始まるところだ。渡辺さんに付き添って病院で診てもらって。終わったらすぐ帰るから」と答えた。

高橋花はすぐに「渡辺さんは今日は休みなの。彩花がそっちにいるでしょ?オークションは彩花に任せて。彩花の力を試すいい機会にもなるし」と言った。

高橋正人は考え直し、高橋花の言う通りだと思った。「分かった。今すぐ帰るから、待っててくれ」と低い声で答えた。

電話を切った後、高橋正人は高橋彩花に電話し、今から帰宅するので会場は任せると伝えた。高橋彩花は高橋花の体調を心配するふりをしつつ、必ずやり遂げると後で約束した。

すべてが片付くと、高橋彩花は唇の端を冷たく吊り上げた。

これで高橋美咲が援護を受ける心配はなくなった。

高橋美咲は席に座ったまま、今回オークションにかけられる店舗の一覧をじっくり見ていた。こうした大型ショッピングモールでは、店舗の価格は立地によって大きく異なる。正面入口付近の店舗はまず無理だろうが、角の方ならまだ勝負できると感じていた。

モールに十分な人通りがあり、立地が良ければ、客足に困ることはないはずだ。

このショッピングモールはもともと古い市街地だったが、買収と再開発によって今の巨大なモールへと生まれ変わった。言うまでもなく、元の立地は抜群で、周辺の人通りも非常に多い。

良いものは宣伝しなくても売れる。高橋美咲は、自分のデザインなら必ず多くのリピーターを獲得できると信じていた。その時が来れば、店舗の場所に悩む必要もなくなる。

今回、高橋美咲が狙っているのは、モールの角にある2つの店舗だった。スペースはそれほど広くないが、アクセサリー販売には十分な広さだ。

森川茉莉が高橋美咲の耳元に顔を寄せて、小声でささやいた。「社長、今回高橋彩花も来てますけど、また何か仕掛けてきたりしませんか?」

森川茉莉は以前、高橋彩花に東都キャピタルの投資を横取りされたことをよく覚えていた。もし九条蓮と東都キャピタルのオーナーが知り合いでなければ、発表会すら開けなかったかもしれない。

高橋美咲の目が一瞬暗くなった。彼女は以前調べたショッピングモールの投資情報を思い出した。投資主はとても有名な外国人らしい。「心配しないで。高橋彩花はこのモールの裏にいる人たちを知らないから、私に手出しはできない。今気にすべきは、他のブランドに勝って店舗を取ることよ」と言った。

「それなら安心です」と森川茉莉はほっと息をついた。

だが、ふと思い出したように「さっき高橋社長——高橋正人さんを見かけた気がするんですけど、今はどうしていないんでしょう?」と不安げに言った。

高橋美咲は考えるまでもなく理由が分かった。

彼女は冷たく笑った。「森川茉莉、自分の力でやるしかないわ。他人の助けなんて当てにしない方がいい。頼れるのは自分だけよ。」