Chapter 852
行動で証明する
九条蓮は片手をポケットに入れたまま言った。「誰かを探したいなら、俺に言えばよかったのに。俺が見つけてやるよ。」
「大丈夫。」高橋美咲はやんわりと首を振り、九条蓮の親切を断った。
「今は九条インターナショナルの再建であなたも大変でしょう。私のことで余計な心配をかけたくないの。自分のことは自分でやるわ。困難を自分で乗り越えてこそ達成感があるし、いつまでもあなたに頼ってばかりじゃいられないもの。」
高橋美咲は少し間を置き、瞳を輝かせて言った。「私、あなたと肩を並べて歩ける自立した女性になりたいの。」
九条蓮の力を疑っているわけじゃない。ただ、依存してしまうのが怖かった。高橋美咲は自分自身で成長し、強くなりたかったのだ。
九条蓮はしばらく黙って高橋美咲を見つめ、「ああ。もし自分じゃどうにもならないことがあったら、ちゃんと俺に頼れよ。無理はするな。」と静かに言った。
高橋美咲は、それが彼の了承の証だと分かった。にっこり笑って「うん。あなたは私の夫なんだから、遠慮なんてするわけないでしょ?どうにもならなくなったら、すぐにあなたにしがみつくから!」
その一言に九条蓮はとても満足し、高橋美咲を腕の中に引き寄せて唇にキスをした。
その時、森川茉莉がメゾン・ヴェルヌの件で高橋美咲に報告しに来たが、まさかこんな場面に出くわすとは思わず、思わず顔を赤らめて慌てて引き返した。
振り返った瞬間、同じく報告に来ていた真壁直人と鉢合わせになり、二人は目を丸くして見つめ合った。
そして同時に吹き出して笑った。
…
高橋美咲が方向性を決めると、すぐにブランドのことで忙しくなった。
高橋グループにいた頃は、ローンチイベントを成功させたものの、メゾン・ヴェルヌのプロモーションはうまくいかなかった。高橋グループは高橋彩花の縄張りで、高橋美咲は何かと妨害されていた。イベント後はすぐに沈静化し、その後は何の反応もなかった。
今は独立したことで、もう縛られることもなく、思い切り動けるようになった。
まず最初にやるべきは、メゾン・ヴェルヌの旗艦店をオープンすること。ブランド初の店舗だけに、条件も多い。まずは人通りの多い場所で認知度を高めること、次にイベントを仕掛けてメゾン・ヴェルヌの名前を広めること、そしてブランド効果を一連で作り上げること。
だが、それらは一つずつ段階を踏んでやっていくしかない。今一番大事なのは、旗艦店のオープンだ。
森川茉莉が資料を持ってオフィスに入ってきた。「社長、主要なショッピングモールの情報をまとめてきました。ご確認ください。」
高橋美咲は資料を手に取り、ざっと目を通した。各モールのランクや周辺の集客源などがまとめられている。森川茉莉は元々は小さなアシスタントだったが、高橋美咲のそばでどんどん成長し、これだけの情報をまとめられるようになったことに高橋美咲は満足した。
一つのショッピングモールを指差して「ここはどう?」と尋ねた。
森川茉莉が身を乗り出して確認する。「ああ…このモールは大阪の中心エリアにあって、建ったばかりなのに立地が良いから、テナントの争奪戦が激しいんです。すでに入居希望者同士で競り合いになっているほど。確かにとても良いですが、競争も激しいと思います。」
入札形式か…。
高橋美咲は、良い立地は当然争奪戦になることを理解していた。メゾン・ヴェルヌの第一歩は絶対に妥協できない。でなければ、お金をかけても結果が出ないかもしれない。
ほとんど迷うことなく、その場で決断した。「もう他は見なくていい。ここに決める。準備して、入札に参加するわ。」
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