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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 848 - 高橋美咲が泣くのはこれから

Chapter 848

高橋美咲が泣くのはこれから

「退職届は受理しましたが、業務の引き継ぎが必要です。1ヶ月は会社を離れられません。」

会社の規定通り、今日から手続きが始まり、1ヶ月後には高橋グループを完全に去ることになる。

高橋美咲は軽くうなずき、特に異論はなかった。

高橋彩花が駆けつけてきて、森川茉莉と相沢紫苑も高橋美咲と一緒に辞めると聞くと、思わず舌打ちした。「主従の絆ってやつ?感動しちゃうわね。」

そして人事に向かって言った。「姉さんが高橋グループを辞めるなら、きっともっといい未来が待ってるんでしょう。会社の規則なんて守る必要ないわ。今すぐ辞めさせてあげて。」

人事は高橋彩花を見て戸惑った。

高橋彩花は高橋グループのマネージャーだが、実権はまだ高橋正人にある。本当にこれでいいのか?

人事がためらっているのを見て、高橋彩花の顔色が一気に曇り、「何?私の言うことがもう通じないの?言った通りにして。何かあったら私が責任を取るから。」

それを聞いて人事はもう迷わなかった。どうせ何があっても自分には関係ない。「分かりました、すぐ手続きします。」

高橋彩花は高橋美咲に微笑みながら言った。「姉さん、高橋グループを辞めるのはこれで2回目よ。今度また戻りたいと思っても、そう簡単にはいかないから、よく考えた方がいいわよ。」

高橋彩花は高橋美咲の頭がおかしいのかどうか分からなかったが、とにかく一刻も早く高橋美咲に出て行ってほしかった。もう資産を争う相手がいなくなるからだ。

高橋美咲が出て行ったら、次は絶対に戻らせないつもりだった。

高橋美咲は無表情で言った。「もう考えたわ。でも、私のブランドは持っていく。」

メゾン・ヴェルヌは東京で自分が立ち上げたブランド。大阪に来てからも持ち込んだが、高橋彩花にずっと抑え込まれてうまくいかなかった。前回の新作発表会でようやく一度だけ高橋彩花を出し抜けた。

ここに置いていけば、高橋彩花に潰されるのは目に見えている。

これは自分の努力の結晶。無駄にするわけにはいかない。

高橋彩花は高橋美咲のブランドになど興味はなかった。

冷たく笑って言った。「持っていけば?あんなガラクタブランド、タダでもいらないわ。高橋グループの後ろ盾なしでブランドを育てられると思ってるの?夢見てるのね。」

高橋美咲は心の中で冷笑した。高橋彩花に何が分かるというのか。

未来のことなんて、誰にも分からない。

高橋美咲は半日で高橋グループを去った。相沢紫苑と森川茉莉も一緒に、ジュエリーブランドも持って。

高橋グループのビルの外。

「高橋マネージャー、いつから仕事始めますか?」

高橋美咲は相沢紫苑と森川茉莉を見て、「まだ場所も決まってないし、会社の登記もこれからだから、今日は一度家に帰って。仕事開始日はまた2、3日中に連絡するわ。」

そう言って高橋美咲は微笑んだ。「それと…もう高橋マネージャーじゃないから、そう呼ばないで。」

「じゃあ…社長?」相沢紫苑がすぐに言い直し、森川茉莉も「社長!」と続いた。

高橋美咲は苦笑いした。「…」

しばらくどう訂正すればいいか分からなかったが、考えてみれば、たまには小さな社長も悪くないと思い直した。

「社長、それじゃ私たち帰りますね。」

2人は高橋美咲に手を振り、腕を組んで去っていった。

高橋美咲はその場に立ち、相沢紫苑と森川茉莉の後ろ姿を見送った。2人の背中を見て、少し胸が熱くなった。2人の信頼に応えるためにも、頑張らなければと思った。

その時、突然スマホが鳴った。九条蓮からの電話だった。

高橋美咲はスワイプして応答した。「九条蓮、どうしたの?」

「今、高橋グループの前に着くところだ。もう仕事終わった?ちょっと連れて行きたい場所がある。」九条蓮の低い声が電話越しに響いた。