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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 845 - 高橋美咲の決意(続き)

Chapter 845

高橋美咲の決意(続き)

それを見て九条家の大奥様は思わず笑みをこぼした。大旦那様は口では厳しいが、実際はとっくに高橋美咲を受け入れているのだ。以前なら「男が台所に入るものじゃない」と小言を言ったはずなのに。

今では、ここでの暮らしも悪くないと感じていた。

九条家にいた頃は、いつも冷たく寂しい雰囲気だった。子どもたちもそばにおらず、孤独な毎日だった。だが今は高橋美咲も九条蓮も一緒にいる。

やがて高橋美咲が料理を仕上げ、テーブルに並べた。

高橋美咲の料理の腕前は言うまでもなく、九条家の大旦那様も大奥様も箸が進み、とても満足そうだった。

食事が終わると、高橋美咲はすぐに食器を片付けず、九条家の大旦那様と大奥様、そして九条蓮を見つめて、真剣な表情で「皆さんにお伝えしたいことがあります」と切り出した。

その言葉に、全員が高橋美咲に注目した。

何を言い出すのか、誰も予想がつかなかった。

「美咲、何か発表でもあるの?」と九条家の大奥様が高橋美咲のお腹に視線を向け、不安げに「もしかして、赤ちゃんができたの?」と尋ねた。

九条蓮も九条家の大旦那様も驚いた表情で高橋美咲を見つめた。

高橋美咲「……」

全身に冷や汗がにじみ、せっかく用意した言葉が一瞬で吹き飛んだ。

「お祖母様、違います。まだ妊娠はしていません。今日お話ししたいのは、そのことじゃないんです」

九条家の大奥様は少し残念そうだったが、それでも「そうなのね。てっきり曾孫を抱けるのかと思ったわ。美咲、何を話したいの?」と続けた。

高橋美咲は軽く咳払いをして言った。「今の状況だけど、九条蓮がこれから会社を立ち上げるから、信頼できる人が必要なの。だから私、高橋グループを辞めて九条蓮を手伝うことに決めたの。」

九条蓮は高橋美咲の言葉を聞いて、驚きの表情を浮かべた後、深い感慨を覚えた。

新しい会社を始めること自体は特別難しいとは思っていなかったが、信頼できる人がそばにいてくれることは、やはり大きな力になる。

今、高橋美咲には高橋グループでの自分のキャリアがある。それをすべて捨ててまで自分のもとに来るというのは、非常に大きな決断だった。

「美咲……」九条蓮は顔を上げて高橋美咲を見つめた。

高橋美咲は九条蓮が引き止めようとしているのを察し、柔らかく微笑みながらもきっぱりとした表情で言った。「説得しなくていいよ。もう決めたから。」

「蓮、お前は美咲に手伝ってもらいなさい。今こそ助けが必要な時だろう。」それまで黙っていた九条家の大旦那様が、突然口を開いた。

彼は高橋美咲の決断に反対するどころか、むしろ喜んでいるようだった。

息子や孫娘に次々と裏切られた今、九条家の大旦那様は高橋美咲をとても信頼していた。あの状況でも逃げなかった彼女なら、今後も決して誘惑に負けることはないだろうと感じていた。

高橋美咲は九条家の大旦那様を見て、口元に微笑みを浮かべた。「九条のお祖父様も賛成してくれるんですか?」

「ああ。」九条家の大旦那様はうなずいた。

「じゃあつまり……」高橋美咲はさらに笑みを深め、少し意地悪そうに続けた。「私がとても有能だから、九条蓮を手伝うのにふさわしいって思ってくれてるってことですね?」

「……」

九条家の大旦那様は一瞬言葉に詰まった。認めてしまえば、この女を褒めることになる。

今は高橋美咲を受け入れてもいいと思っているが、褒めるなんて絶対にできない。絶対に褒めたりはしない!

まさか高橋美咲にうまく誘導されるとは思わず、九条家の大旦那様は返答に困った。

顔を赤くし、しばらくしてからようやく強い口調で「もういい。調子に乗るな。早く準備してきなさい」と言った。