Chapter 838
九条蓮と高橋美咲の子(続き)(続き)
だが九条家本邸に戻ると、正門は固く閉ざされていた。普段門番をしているディーンおじさんの姿はなく、見知らぬ中年男が立っていた。
この日、九条家の大旦那様は大奥様と一緒に退院した。まさかこんなことに遭遇するとは思わず、二人とも怒りで爆発しそうだった。
「お前は誰だ!ディーンおじさんはどこだ!」杖をつきながら、九条家の大旦那様は怒鳴った。
門番をしていた中年の男は、もちろん九条家の大旦那様のことを知っていた。しかし今や九条家の主は九条智久であり、自分は九条智久の指示に従っている。
「大旦那様、今は九条家は智久様の管理下です。智久様から、外部の方は一切中に入れるなと命じられています。どうか早くお引き取りください、面倒なことにならないうちに。」
九条家の大旦那様は、これまで一生をかけて財界を牛耳ってきた。まさか自分が門番に追い払われる日が来るとは夢にも思わなかった。
今や自分の家にすら入れなくなってしまったのだ!
「なんということだ!」
九条家の大旦那様は怒りに震え、歯を食いしばって目の前の男を睨みつけた。「今すぐ九条智久をここに呼んでこい!」
もちろん門番は、九条智久を呼び出すつもりなどなかった。そんなことをすれば自分の職を失いかねない。
「大旦那様、どうかお引き取りください。これ以上ごねるなら、こちらも力ずくで出ていってもらいますよ!」と門番は怒鳴った。
九条家の大旦那様は胸を押さえ、あまりの怒りに持病がぶり返しそうになった。もともと長年の病を抱えていたうえ、九条芽衣に毒を盛られてからは体力も大きく落ちてしまっていた。もう以前のような強さは残っていない。
「おじい様、大丈夫ですか?」九条家の大奥様が慌てて駆け寄り、支えた。
九条家の大旦那様の胸には、深い悲しみがこみ上げてきた。一生をかけて築き上げた家の財産も、子や孫たちの争いのせいでこの有様。老後は穏やかに過ごせるはずだったのに、今や息子に家を追い出されようとしている。
そのとき、高級車がゆっくりと近づいてきた。九条智久が帰ってきたのだ。
門番は九条智久の車を見ると、すぐに九条家の門を開けた。
九条家の大旦那様は九条智久の姿を見つけるや否や、すぐに気力を取り戻し、杖をつきながら車の前に立ちはだかった。
運転手は大旦那様に気づき、慌ててブレーキを踏んで車を止めた。車内の九条智久と九条悠真は、突然の停車に驚いた。
九条智久は不機嫌そうに眉をひそめ、「どうしたんだ?運転はどうなってる!」と声を荒げた。
「申し訳ありません……前に九条家の大旦那様が立ちはだかっておられまして……」
九条智久は「九条家の大旦那様」という言葉を聞くと、目を細めた。
彼は車のドアを開けて降り、九条悠真もすぐに後ろに続いた。
九条智久が九条ホールディングスを掌握してからは、九条悠真や九条沙耶香もこの広大な九条家に住むようになり、今やこの屋敷には彼ら数人しかいなかった。
九条家の大旦那様は九条智久を見るなり、激しく杖を振り上げて彼に向かって叩きつけ、「この親不孝者め!九条家を乗っ取ったうえに、今度は私を家から追い出すつもりか。今日はお前を叩きのめして家を清めてやる!」と怒鳴った。
九条智久の表情は一気に険しくなり、すかさず大旦那様の杖をつかんだ。
「父さん、無茶を言わないでくれ。俺は自分のものを受け取っただけだ。乗っ取ったなんて言い方はないだろう。それに、父さんはもう体調が悪いんだ。長期入院して静養しなきゃいけないんだから、ここを管理する暇なんてない。俺が代わりに預かってやってるだけだ。」
「お前……お前……」九条家の大旦那様の顔色はみるみる悪くなり、体もふらついた。
You might also like




