Chapter 837
九条蓮と高橋美咲の子(続き)
「いや、もうお前たちのことに口出しするつもりはない。私もそろそろ隠居する年齢だ。ところで、お前たちはいつ子どもを作るんだ?」
九条蓮は一瞬固まったが、口元に微かな笑みを浮かべた。
お祖父様がこの質問をすることは予想していたから……
「お祖父様、僕たちにはもう息子がいます。」
「なにっ!」九条家の大旦那様は、思わずベッドから飛び上がりそうになった。九条蓮を驚きの目で見つめる。「何を言っているんだ?お前と美咲に子どもがいるだと?いつの間に?本当に妊娠しているのか?」
九条家の大旦那様は、興奮気味に次々と質問を浴びせた。
九条蓮の将来の子どもに対して、どれほど期待し、楽しみにしているかがありありと伝わってきた。
九条蓮は、真実を話すのが少し気まずかった。気を取り直して言った。「お祖父様、僕たちの息子の名前はナオナオです。」
九条家の大旦那様は眉をひそめた。曾孫の名前がそんなに適当でいいはずがない!
あだ名ならまだしも、本名だったら笑いものではないか。
「だめだ!その名前は良くない。退院したらすぐにお寺にお参りして、名付けの先生に見てもらわねば。名前は人生の大事だ。適当に決めてはいかん。子どもはしばらく待て。」
そう言ってから、九条家の大旦那様は九条蓮を見た。「出産予定日はいつだ?」
九条家の大旦那様がここまで興奮し、喜ぶとは思わず、九条蓮はもうこれ以上からかうのはやめようと、困ったように微笑んで言った。「お祖父様……ナオナオは僕と美咲の飼っている犬です。僕たちの息子なんです。」
「……」
九条家の大旦那様は、天国から地獄に突き落とされたような気分だった。
呼吸が荒くなり、顔色も真っ暗になった。
犬だったのか!
このバカ孫、よくも自分を騙したな!
九条家の大旦那様が怒りで興奮しているのを見て、九条蓮は慌てて背中を軽くさすった。「お祖父様、落ち着いてください。冗談だったんです。」
「子どものことは、自然に任せるつもりです。今は会社のことで手一杯なので、そちらまで気が回りません。」
「ふん!もう出ていけ!」
なんて親不孝な孫だ!
九条蓮と高橋美咲は病院を後にした。車の中で、高橋美咲は不思議そうに九条蓮を見て尋ねた。「さっきのお祖父様、本当に新しい会社を始めることを不満に思ってたの?表情があまり良くなかった気がするけど。」
九条蓮は口元に笑みを浮かべた。
もし美咲が、さっき自分がどんなバカなことをしたか知ったら、きっと呆れられるだろう。
結局、九条蓮は何も言わず、微笑んで答えた。「うん、かなり怒ってたよ。」
高橋美咲の目に、心配そうな色が浮かんだ。
これでお祖父様まで九条蓮を認めてくれないとなれば、彼がどれほどの重圧を背負っているか想像できる。
彼女はそっと頭を彼の肩に寄せて、優しく言った。「九条蓮、何があっても、私はあなたのそばにいるから。」
九条蓮は一瞬驚いたが、すぐに口元に笑みを浮かべた。
ちょうどその時、信号が赤になり、車が止まった。彼は身をかがめて高橋美咲にキスをした。
さっきの美咲の無意識の告白のせいか、このキスはいつも以上に熱く、まるで彼女を自分の骨と血に溶け込ませたいかのようだった。高橋美咲は受け身のままキスを受けていたが、後ろの車からクラクションが鳴り響き、ようやく彼を強く押し返した。
頬を赤らめた高橋美咲は、「九条蓮、ちゃんと運転して!」と叱った。
「いつも安全運転だよ。」九条蓮は、わざと意味深に答えた。
その図々しい言葉に、高橋美咲の顔はさらに赤くなった。抑圧された男のくせに、何を言ってるのよ!
……
九条家の大旦那様が退院した!
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