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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 832 - 九条蓮が用意したサプライズ(続き)

Chapter 832

九条蓮が用意したサプライズ(続き)

九条蓮は眉を上げた。「九条芽衣にそんな考えがあったなんて、俺も思わなかった。」

そう言いながら、ぼんやりと高橋美咲の膝に手を伸ばしてさすった。

この数日間、拘留されて冷え切っていたのだろう。もし今後の段取りや敵を警戒する必要がなければ、高橋美咲にこんな思いは絶対させなかった。

高橋美咲は眉をひそめた。「でも証拠は何もないし、今は九条悠真が九条ホールディングスを掌握してる。あなたには今、どうする力もないんじゃない?」

九条悠真が無関係とは思えない。でも、軽はずみな行動はできなかった。

今の九条蓮の立場では、自分を守るのが精一杯だ。

真実を知るのが遅すぎた。

九条蓮は思わず笑った。高橋美咲が本当に自分には何も残っていないと思っているとは、予想外だった。

今回は多くの人間を欺けたようだ。

「心配しなくていい。俺には策がある。君の一番大事な仕事は、しっかり休んで早く元気になることだ。」

ふいに何かを思い出したように、高橋美咲は勢いよく身を起こした。「ちょっと!九条蓮!まさか一人で全部背負うつもりじゃないでしょうね?」

彼女は強い口調で詰め寄った。「全部ひとりで背負うつもり?どうするつもりなの?」

離婚届を渡されたあの日から、何かが単純じゃないと高橋美咲は感じていた。

九条蓮は少しばかり後ろめたさを覚えていた。本当は高橋美咲をこの件に巻き込みたくなかった。彼女はただ自分の後ろで安心していればいい。自分がすべての嵐から守るつもりだった。

男は立ち上がり、高橋美咲の手を取ってバルコニーへと導いた。「こっちに来て。サプライズがあるんだ。」

サプライズ?

高橋美咲はすぐに気を取られた。まさか九条蓮が自分のためにもサプライズを用意していたなんて思いもしなかった。

いつからこんなにロマンチックになったの?

九条蓮は高橋美咲をバルコニーまで連れて行き、ドアを開けた。そこには鉄製のケージが置かれていて、中にはふわふわした小さな生き物がいた。

「ワン!」

ティーカップ犬が見知らぬ人を見て突然吠えた。

「これ、なに?」高橋美咲は驚いて目を見開いた。

「お祖父様、ずっとひ孫を抱きたいって言ってただろ?これからは、こいつが俺たちの息子だ。そうすれば、もう赤ちゃんのことで君にプレッシャーをかけなくなる。」

九条蓮があまりにも真面目な顔で言うものだから、高橋美咲は思わず口元を引きつらせた。

そんなのアリ?

九条蓮はお祖父様を完全にハメようとしている。もしバレたら、お祖父様は病院を抜け出してでもこの不孝な孫を殴りに来るかもしれない。

「うちの息子に名前をつけてやってくれ。」九条蓮はティーカップ犬をケージから出した。

「……」

高橋美咲はこれを自分の息子だなんて、まったく認めたくなかった。

ティーカップ犬は高橋美咲の足元を元気よく駆け回った。それでも彼女は仕方なくしゃがみ込み、犬を抱き上げて「元気すぎるから、トラブルって呼ぶわ」と呟いた。

高橋美咲は九条蓮を睨んだ。「九条蓮、話を逸らそうとしても無駄よ!何を考えてるか、ちゃんと分かってるんだから。」

九条蓮の目には深い無力感が浮かんだ。高橋美咲がまた九条悠真に策略を仕掛けられるのではと心配しているのを分かっていたから、彼は一歩前に出て彼女を抱き寄せた。

高橋美咲は彼の手を振り払って、苛立ったように言った。「九条蓮!ちゃんと話して。手を出さないで!」

彼女だって黙って済ませるつもりはなかった。

夫婦は一心同体。何かあったら、一緒に立ち向かうべきじゃないの?

九条蓮の高い体が彼女に寄り添い、静かに囁いた。「美咲、心配しなくていい。ただ調査してるだけで、正面からぶつかるつもりはない。俺、そんな無鉄砲じゃないよ。」