Chapter 83
どこから現れた、この二匹の狂犬は?(続き)
九条凛は憤慨しながらぶつぶつ言った。「ドレスを選びに来て、あの白蓮花の桜井奈緒をギャフンと言わせてやろうと思ったのに、逆に悔しい思いをするなんて!」
さっきも吉田美玲に電話しようとしたのに、高橋美咲が止めてかけさせてくれず、そのせいで二人とも笑いものにされてしまった。
本当に腹立たしい!
だが高橋美咲は九条凛ほど動揺しておらず、ゆっくりと口元に笑みを浮かべた。「凛、私がそんな簡単に泣き寝入りすると思う?」
「どういう意味?」九条凛は不思議そうに高橋美咲を見上げた。
高橋美咲は瞬きをして、謎めいた微笑みを浮かべた。「私の言うこと、信じて。ちゃんと胸のつかえを下ろせるようにしてあげるから。」
続いて、桜井奈緒と九条インターナショナルの社員二人は、目を輝かせながらドレス選びを始めた。
店長はスタッフに丁寧な接客を指示し、三人はまるでVIPのような待遇を受けていたが、高橋美咲だけは端に追いやられ、完全に無視されていた。
高橋美咲は気にする様子もなく、試着室に入り、自分の服に着替え直した。
月島瑠奈と望月麗奈は、彼女が脱いだドレスを今にも奪い取らんばかりの勢いだった。
結局、あれこれと時間をかけて選び抜いた末、大阪のマンションが買えるほどの高級オートクチュールドレスを二着と、それに合わせたジュエリーや靴なども選んだ。
どうせ店長が「全てお店持ち」と言ったのだから、タダなら遠慮する理由もない。
高橋美咲は、三人がドレスを選ぶ様子を冷ややかに見守っていた。店員がレンタル伝票を書き終えたのを見届けてから、ようやく薄く微笑み、「もう選び終わった?」と声をかけた。
二人はバッグを手に持ち、高橋美咲を見下すように一瞥した。
「もちろん終わったわよ。今年の新作なんだから、羨ましがらないでね。」
「店員さんも言ってたけど、新作はこの二着だけ。他は全部型落ちよ。あなたはゆっくり選んでていいんじゃない?」
桜井奈緒はそれを聞いて、得意げに笑い声を上げた。
高橋美咲は今日、彼女が差し出したドレスを受け取らなかったくせに、結局は古臭い型落ちしか選べない羽目になったのだ。
桜井奈緒は高飛車な表情で二人に言った。「高橋美咲のドレス選びを邪魔しないようにしましょう。あなたたちのドレスを見たら、他のは全部見劣りするでしょうから。」
「桜井アシスタントの言う通りね。じゃあ、行きましょう。」
三人はバッグを手に、店を出ようとした。
「ちょっと待って。」高橋美咲は何気なく声をかけ、口元に薄い笑みを浮かべて言った。「まだお会計してないのに、そのまま帰るつもり?」
高橋美咲の言葉に、桜井奈緒は眉をひそめた。
月島瑠奈と望月麗奈は、さらに苛立った様子で飛び出しそうになり、怒鳴った。「高橋美咲、何言ってるの?さっき店長が全部お店持ちって言ったでしょ。耳が悪いの?」
「まさか、あなたがそんな待遇受けられないからって、私たちに嫉妬してるんじゃない?」
普通のドレスでも給料の半月分はするのに、今レンタルした二着は国際的な賞を受賞した吉田美玲スタイリングのトップデザイナーによる作品。値段なんて想像もつかない。
もし本当に支払うことになったら、命を取られるのと同じ。売ったって到底払えない。
高橋美咲がさっき九条凛を止めて騒ぎを起こさせなかったのは、この瞬間を待っていたからだ。
今こそ、きっちりケリをつける時!
高橋美咲は後ろにいる九条凛に向かって言った。「凛、吉田美玲スタイリングのオーナーに電話して。二人がドレスをレンタルしておいて、支払いを拒否してるって。」
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