Chapter 828
九条芽衣の罪が暴かれる
「何を馬鹿なこと言ってるの?」九条芽衣の顔色がさっと曇った。
高橋美咲は何も言わず、唇の端に冷たい微笑みを浮かべたまま、九条芽衣をじっと見つめていた。その視線には明らかな嘲りが込められている。
九条芽衣はひどく不機嫌そうな顔をして、そのまま踵を返して病室を出ていった。
病室を出た後、彼女はガラス越しに中の様子をうかがった。九条家の大旦那様は依然として静かにベッドに横たわっている。こんなに長く意識が戻らなかったのに——本当に目を覚ますことがあるのだろうか?
もし九条家の大旦那様が目を覚ましたら、自分が毒を盛ったことが明るみに出てしまうのでは?
だが九条芽衣はすぐに自分を落ち着かせた。誰にも気づかれずにやったし、実行役のメイドにもすでに口止め料を渡してある。誰にもバレるはずがない。
今のところ、高橋美咲が依然として最有力容疑者なのだから、たとえ彼女が釈放されたとしてもどうということはない。
だが、九条芽衣の心には再び不安がよぎった。もし九条家の大旦那様が目を覚まし、高橋美咲が無実だと証明されたら?
……いっそ、最後までやりきってしまえばいい。死人に口なし、そうすれば真実が明るみに出る心配もなくなる——。
九条芽衣の目に一瞬、凶悪な殺意が閃いた。
……
その夜、九条芽衣は再び病院を訪れた。
今夜の病院は静まり返り、誰一人いない。彼女は難なく病室に入ることができた。
九条家の大旦那様は相変わらず静かにベッドに横たわっている。周囲には誰もいない。絶好の機会だ——。
九条芽衣はベッドに近づき、液体の入った小瓶を取り出してハンカチに染み込ませた。ちょうど九条家の大旦那様にそれを押し当てようとしたその時、突然、病室のバスルームのドアが開いた!
中から次々と人が現れる。高橋美咲、九条蓮、九条凛、そして他の家族たち……。
九条芽衣は完全に呆然とし、何が起きているのか一瞬理解できなかった。
しばらくしてようやく状況を飲み込む。——自分は罠にはめられたのだ!
九条芽衣の全身から血の気が引き、まるで体中の血が凍りついたようだった。
高橋美咲が九条芽衣の前に歩み寄り、冷たく鼻で笑った。「九条芽衣、人の道を踏みにじって九条のお祖父様に毒を盛り、今度は口封じまでしようとした。現行犯で捕まえたけど、まだ言い訳するつもり?」
「わ、私は……」九条芽衣は顔面蒼白になりながらも、必死に平静を装おうとした。「何のことか分からないわ!私はただ九条のお祖父様の看病に来ただけ。私を陥れないで!」
高橋美咲は、こんな状況でもなお平然と嘘をつく九条芽衣に呆れた。
彼女は九条芽衣の手にあるハンカチを指さし、「本当に九条のお祖父様の看病?そのハンカチに染み込ませた液体、ただのものじゃないわ。検査すればすぐ分かることよ!」
九条凛は怒りに震えながら歯を食いしばった。「九条芽衣、まさかここまで酷い人間だったなんて。自分の祖父にまで毒を盛るなんて、天罰が下るわ!」
皆から非難され、九条芽衣の表情はますます険しくなった。
先ほどの言い訳も、もはや何の意味もなかった。高橋美咲にハンカチの液体を指摘され、もう言い逃れはできない。
その時、病室の外から警察官が数名入ってきた。九条蓮が事前に通報していたのだ。警察官たちはすぐに九条芽衣を取り押さえ、別の警官が彼女の手からハンカチを証拠袋に入れた。それは事件の重要な証拠品だった。
「九条芽衣さん、あなたを九条家の大旦那様殺害未遂の容疑で逮捕します。ご同行願います。」
九条芽衣は現行犯で捕まり、もはや逃げ場はなかった。
そして九条蓮も、彼女を絶対に許すつもりはなかった。
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