Chapter 818
九条悠真の目的は何?
九条蓮が自分の身すら守れない?一体何があったの?
彼女は慌てて一歩前に出て、九条悠真の腕を掴み、「今なんて言ったの?九条蓮に何があったの?」と問い詰めた。
高橋美咲が九条蓮のことを心配している様子を見て、九条悠真は不快感を覚えた。彼は高橋美咲に、本当に頼るべき相手が誰なのかを思い知らせたかった。そうすれば、彼女も自分の過ちに気づくだろうと。
「よく考えてみろ。答えが出たら、誰かを通じて俺に連絡しろ。」
そう言い残し、九条悠真はすぐに背を向けて去っていった。
高橋美咲は目の前で閉まる扉を見つめ、胸に不安が押し寄せた。九条蓮に何が起きたのか、まったく分からなかった。
彼女は警察官から電話を借りた。
おそらく誰かが事前に指示していたのだろう、高橋美咲は特に嫌な扱いを受けることはなかった。
電話を手に取り、暗記している番号を押したが、九条蓮の番号は長く呼び出し音が鳴るだけで、誰も出なかった。
高橋美咲の不安はさらに募った。
電話を切ると、今度は九条凛の番号をかけた。
九条凛はすぐに電話に出た。高橋美咲はすぐさま、「凛、さっき九条悠真に会ったの。彼が、あなたのお兄さんに何かあったって言ってたけど、本当なの?」と尋ねた。
「うん……」九条凛の声は疲れ切っていて、悔しそうに歯を食いしばりながら言った。「今、お祖父様が倒れて、九条ホールディングスはめちゃくちゃ。前から九条ホールディングスを狙ってた親戚たちが、一斉に動き出してるの。お兄ちゃんはたった一人で、たくさんの人を相手にしてて、本当に限界みたい。それに、お祖父様の毒殺事件の捜査や、美咲のことまで……」
高橋美咲はそれを聞いて、一気に気持ちが沈んだ。
しばらく沈黙した後、ようやく小さな声で「それで……お兄さんは今、どうしてるの?」と尋ねた。
「……あまり良くない。」
高橋美咲は一瞬言葉を失い、さらに問い詰めた。「そんなに悪いの?」
もともと数日ここにいれば出られると思っていたのに、まさか九条蓮までこんな状況になるとは思わなかった。今や彼の方が自分よりもずっと大変な状況に陥っているようだった。
どうりで、さっき九条悠真があんなことを言ったのだ。
高橋美咲はふと気づき、「凛、九条悠真は今どうしてるの?」と尋ねた。
高橋美咲が九条悠真の名前を口にしたとたん、九条凛はひどく動揺した様子を見せた。憤慨したように言う。「ああ、もう!その話はやめて!まさか九条悠真があんな切り札を隠していたなんて、全然思わなかったわ。」
「どうやったのか分からないけど、九条ホールディングスの株主たちを買収したのよ。今は彼を支持する人がかなり増えて、会社を継ぐべきだって後押ししてる。もしかしたら、もう兄さんよりも支持を集めてるかもしれない。今朝の株主総会でも、あと少しでトップの座を奪われるところだったの。」
九条凛の言葉を聞いた高橋美咲は、しばらく沈黙したままだった。
九条凛は続けた。「美咲、今回のことは兄さんにとって人生最大の試練だと思う。お祖父様の毒殺事件も絶対に関係してるはず!でも、誰がやったのかはまだ分かってないの……」
そこで、九条凛は高橋美咲の前であまり話しすぎるのは良くないと気づいたようだった。今の高橋美咲の状況を考えれば、九条蓮のことまで心配させるのは酷だと思ったのだ。
九条凛は軽く咳払いし、優しく慰める。「でも美咲、心配しないで。兄さんがこの危機を乗り越えれば、きっと真実が明らかになる。その時にはあなたもきっと自由になれるから。」
高橋美咲は「うん、分かった」と答えた。
電話を切った後、高橋美咲は携帯を警察官に返し、無機質な壁をぼんやりと見つめていた。
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