Chapter 816
高橋美咲、絶体絶命
高橋美咲は九条家の大旦那様と最後に二人きりになった人物だったため、疑いの目が最も向けられていた。しかし、高橋美咲には全く身に覚えがなかった。
再び全員が集められ、警察が一次調査の結果を発表するのを待った。
九条家の大奥様はすでに落ち着きを取り戻し、真剣な表情で「それで?どうやって毒が盛られたのか分かりましたか?」と尋ねた。
「九条家の大奥様、現時点では簡単な検査しかできていません。犯人を特定するには、さらに詳しい調査が必要です」
そう言うと、警察官は高橋美咲に向かって「高橋さん、現場の重要参考人として、署までご同行いただきます。ご協力をお願いします」と告げた。
「えっ!?」
高橋美咲の表情が一瞬で強張り、目が冷たくなった。「私が九条家の大旦那様に毒を盛ったと疑っているんですか?」
まさか、九条家本邸に戻った初日に、こんなことに巻き込まれるとは思いもしなかった。
やっぱり自分は九条家と根本的に相性が悪いのだろうか。
高橋美咲は九条芽衣を疑うような目で見たが、すぐにその考えを打ち消した。九条芽衣は九条家の大旦那様の孫娘だ。わざわざ自分を陥れるために毒を盛る理由などないはず。
それに、動機が見当たらない。
高橋美咲はとてつもなく運が悪いと感じた。まだ真犯人が分からない以上、最も疑われるのは自分なのだ。
その時、高橋美咲は九条蓮に助けを求めるような目を向けた。
九条蓮は厳しい表情のまま、底知れぬ黒い瞳で何を考えているのか読み取れなかった。
「寧々、怖がらなくていい。今はただ事情聴取に協力するだけだ。すぐに大丈夫になる」
九条蓮は優しく高橋美咲に声をかけた。つまり、素直に警察に同行するようにという意味だった。
それを見て、警察は何も言わず、高橋美咲の両側に立ち「高橋さん、ご同行ください」と事務的に促した。
高橋美咲は唇をきつく結んだ。今何を言っても無駄だと分かっていた。真実が明らかになり、自分の潔白が証明されるのを待つしかない。
だが、先ほど九条蓮に助けを求めた時、すぐに守ってくれなかった。むしろ警察に同行するよう促された。それはつまり、九条蓮の心の中でも自分が犯人だと思われているのだろうか。
結局、高橋美咲は何も言わず、静かにその場を後にした。
九条芽衣は高橋美咲が連れて行かれるのを見て、口元にかすかな嘲笑を浮かべた。
すでに全て手配済みだ。高橋美咲はもう終わりだ!
……
高橋美咲は連行された後、一人きりで部屋に入れられた。
その時、九条凛が弁護士を連れてやってきた。高橋美咲の姿を見るなり、「美咲、一体どういうこと?どうしてお祖父様が毒を盛られたの?それに、どうして美咲が巻き込まれてるの?」と矢継ぎ早に尋ねた。
それを聞いて、高橋美咲は深いため息をついた。自分でも何が起きているのか分かっていれば、ここにいるはずがない。
「大丈夫、大丈夫。私が連れてきた弁護士は九条家の顧問弁護士で、今まで一度も負けたことがないの。怖がらないで。すぐに保釈してもらえるから」九条凛は高橋美咲を抱きしめ、優しく慰めた。
高橋美咲はうっすらと微笑んだ。自分は大丈夫だと分かっていたので、全く動揺していなかった。
九条蓮もきっと自分を見捨てたりしないはずだ。
「美咲、ちょっとここで待ってて。弁護士に警察と話してもらって、まずは保釈できるか確認してくる。この場所は居心地も悪いし、長居してもいいことないから」
そう言うと、九条凛は弁護士と一緒に部屋を出て行った。
高橋美咲は静かに部屋で九条凛の帰りを待った。
本当にただの取り越し苦労だった。ここを出たら、絶対にこの厄を落とさなければ。
10分後、九条凛が戻ってきた。顔には罪悪感が浮かび、高橋美咲を見て何か言いたげに口ごもった。
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