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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 811 - 激しい内輪揉め

Chapter 811

激しい内輪揉め

大庭理香は隣で震えながら「高橋部長、私にも何が起きたのかわかりません。記者たちが突然、跡形もなく消えてしまって……」とおびえた声で答えた。

「黙りなさい!」高橋彩花は大庭理香を指さして激怒し「跡形もなく消えたって何よ?人が急に消えるわけないでしょ!」と怒鳴った。

記者や来賓たちは、間違いなく高橋美咲の会場へ流れていったのだ。

もともと高橋美咲を完全に潰すために、わざわざ記者会見の日程まで変更したのに、自分で自分の墓穴を掘ることになるとは思いもしなかった。今や恥をかいているのは自分だった。

高橋彩花はもう我慢できず、手近なものを乱暴に叩きつけた。

いや、何が起きているのか高橋美咲の会場を見に行かなければ。そう思った高橋彩花は変装し、大庭理香を連れて、こっそり高橋美咲の記者会見に紛れ込んだ。

高橋彩花の記者会見は失敗し、高橋美咲の会見は大成功となった。

記者会見が終わると、記者たちは西園寺陸と高橋美咲のもとへインタビューにやってきた。

「西園寺さん、先ほど高橋グループから高橋彩花さんに投資したという報道がありましたが、実際は高橋美咲さんに変わったのですか?その経緯を教えてください。」

西園寺陸は微笑みながら「確かに高橋グループに投資しましたが、最初から最後までメゾン・ヴェルヌだけです。他の噂があったとすれば、それは事実無根です。皆さんにはぜひ真実を見極めていただきたいですね」と答えた。

このニュースは高橋彩花が流したものだったが、西園寺陸が自ら噂だと否定したことで、高橋彩花が嘘をついていたことになる。

記者たちは一斉に納得した。

高橋彩花は自分の記者会見が注目されないことを恐れて、あえてそんな宣伝をしたのだろう。しかし西園寺陸に真っ向から否定され、面目を潰された形だ。

高橋彩花も高橋美咲も高橋グループの人間なのに、ここまで激しい内輪揉めをするとは……。

群衆の後ろに隠れていた高橋彩花は、西園寺陸の言葉を聞いて怒りに震えた。もし見つかる心配がなければ、すぐにでも飛び出して自分も騙されたのだと説明したかった。

結局、高橋彩花は悔しさと屈辱でいっぱいになり、その場を後にするしかなかった。

高橋美咲の新作発表会は大成功を収めた。

発表会が終わった後、高橋美咲は改めて九条蓮にお礼を伝えようと考えていた。もし彼の助けがなければ、西園寺陸がここまで全面的に支援してくれることはなかっただろう。もしかしたら今回、高橋彩花に抑え込まれていたかもしれない。高橋美咲は九条蓮に電話をかけ、今日の発表会について話した。

九条蓮は柔らかく笑い、「西園寺陸からもう連絡があったよ。発表会の成功、おめでとう。今夜は御膳庵を予約した。一緒にお祝いしようか?」と言った。

「うん、いいよ。」

「迎えに行くよ。」

高橋美咲は会場で九条蓮を待ち、彼の車に乗り込んでレストランへ向かった。御膳庵は九条ホールディングスが出資しており、本店は大阪、東京の店舗は支店だ。今日二人が向かったのは本店だった。

スタッフに案内されて、二人は個室に入った。

九条蓮は高橋美咲を見つめて言った。「美咲、もう仲直りしたんだし、いずれは九条家本邸に戻らないといけないよ。」

それは高橋美咲に心の準備を促す言葉だった。

たとえ一生外で美咲と暮らすこともできるが、やはり彼女には九条家と円満に過ごしてほしいという思いがあった。

高橋美咲はその言葉を聞いて、そっと唇を噛んだ。「でも、あなたのお祖父様は私のことを好いていないわ。」

それに、あの従姉妹の九条芽衣も。前に水の中に引きずり込まれたことを、まだはっきり覚えている。

九条蓮は優しく高橋美咲を見つめて言った。「美咲、君が心配していることは分かってる。だから無理強いはしない。ただ、九条家を少しずつ受け入れてほしいんだ。」