Chapter 806
高橋美咲の新作発表会
「早く、早く、高橋部長に報告しに戻ろう!」
みんなで固まって、再び宴会場へと戻っていった。
…
控室の中。
「高橋部長、もう見てきました。高橋美咲さんの方はほとんど人がいません。みんなうちの方に来てます。」
さっき様子を見に行っていた数人のスタッフが、高橋美咲側の状況を高橋彩花に報告していた。それを聞いた高橋彩花は、冷たい笑みを浮かべ、口元をわずかに上げた。
今日はかなり多くの人を招待している。
それに、東都キャピタルの西園寺陸も招待していた。最初は断られたものの、後からやっぱり来ると返事をもらった。
ただ、東都キャピタルからの資金はまだ入っておらず、何かトラブルが起きないかと心配だった。
でも西園寺が来ると約束してくれたのだから、きっと問題はないはず。
東都キャピタルの西園寺陸が後ろ盾になってくれれば、今日こそ高橋美咲の新作発表会を叩き潰せる!
「西園寺さんはもう到着してる?」と高橋彩花は隣のアシスタントに尋ねた。
「まだです…」
発表会が始まろうとしているのに、西園寺はまだ来ていない。高橋彩花は少し不安だったが、すでに招待を受けてくれているのだから、ドタキャンはないだろうと考え、気を落ち着かせた。
その時、ドアの方から「高橋部長、東都キャピタルの西園寺さんがいらっしゃいました!」という声が聞こえた。
高橋彩花の顔がぱっと明るくなり、立ち上がってドアの方へ歩き出した。「さあ、お迎えに行きましょう。」
高橋彩花がそう言うと、立ち上がって外へ出ていき、後ろの人たちも次々と続いた。
ホテルの多目的宴会場の入り口には、西園寺陸とそのアシスタントが立っていた。
「西園寺さん、こちらも高橋グループのブランド発表会みたいですが、メゾン・ヴェルヌじゃありませんよね?今日は西園寺さんが投資したメゾン・ヴェルヌの発表会に行く予定じゃなかったんですか?」
アシスタントは不思議そうな顔で話しかけた。同じ会社が、同じ場所で、しかも向かい合わせで、二つのブランド発表会を同時に開くなんて理解できなかった。
これじゃあ客が分散するだけじゃないか。
西園寺の目が一瞬揺れ、低い声で「ちょっと様子を見に来ただけだ」と答えた。
実際はもちろん、九条蓮から高橋美咲をしっかりサポートするよう指示されていた。
だからまず高橋彩花側の様子を見に来て、状況を把握してから高橋美咲を助けるつもりだった。
その時、高橋彩花が大勢を引き連れて近づいてきた。「西園寺さん、本当に来てくださったんですね!」
高橋彩花は穏やかな笑みを浮かべて西園寺陸を丁寧に迎えた。その目でそばの大庭理香に合図し、急いで記者たちを呼んで写真を撮らせるよう指示した。
もともと高橋彩花は東都キャピタルの長谷川傑しか知らず、西園寺陸とは面識がなかった。招待した時も来てくれるか半信半疑だったが、意外にも承諾してくれた。
西園寺陸は数々のプロジェクトや企業に投資しており、その人脈とリソースは非常に強力だ。
しかも西園寺は独特の鋭い目利きで、投資した案件はどれも高いリターンを上げている。最近では西園寺が目をつけたプロジェクトには、多くの人が追随して投資するほどだ。
西園寺が発表会に来てくれれば、終了後に大々的に宣伝すれば、きっと多くの投資家を呼び込める。
資金が潤沢になれば、高橋美咲側なんてプレッシャーで潰してしまえる。
高橋美咲なんて、高橋グループで何か騒ぎを起こす前に抑え込まれてしまうだろう。その時は、彩花の顔色をうかがいながら、やっとしがみついていくしかなくなるはず。
その時、大庭理香はすでに記者たちを全員呼び寄せていた。
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