Chapter 802
高橋彩花がどう収拾をつけるか見ものね
ただ一つ気になるのは、高橋彩花がいまだに自信満々な顔をしていることだった。まるで高橋美咲が投資を得られなかったと確信しているかのようだった。
高橋美咲は、もしかして東都キャピタルが高橋彩花への投資を撤回していないのでは、と少し疑っていた。
森川茉莉も同じ心配をしていた。「高橋部長、東都キャピタル側で何か問題があったんじゃないですか?私が聞きに行きましょうか?」
「大丈夫。私が電話して確認するわ。」
そう言って、高橋美咲は携帯を取り出し、九条蓮の番号をダイヤルした。
「もしもし、今忙しい?」
九条蓮の低くて魅力的な声が電話越しに響き、優しく「どうした?」と返ってきた。
「東都キャピタルの件でちょっと聞きたいことがあって。今忙しいなら、また今度でいいんだけど。」
その後、九条蓮は西園寺陸が約束したことはすでに全て済ませたと伝えた。担当マネージャーは解雇され、その退職とともに高橋彩花への投資も無効になったという。
そもそも正式な契約は結ばれておらず、東都キャピタルから資金が支払われたこともなかった。
高橋美咲はすぐに状況を理解した。高橋彩花はとっくに投資を失っていたのに、まだそのことを知らないだけだったのだ。
もし本当にそうなら、これからが面白くなりそうだ。
高橋美咲は何も気づかせず、しばらく様子を見ることにした。高橋彩花がどうやってこの状況を収拾するのか、見届けてやろう。
大阪の一軒家。
九条悠真と九条沙耶香がリビングで何やら話し合っていた。
「悠真、本当に最近九条蓮は大旦那様に追い出されたの?これ、デマじゃないの?」九条沙耶香の目には鋭い計算高い光が宿った。
最近、九条蓮は九条家本邸を離れていた。
しかも、高橋美咲のせいで九条蓮が何度も九条家の大旦那様に逆らい、ついに完全に見限られて九条家から追い出されたという噂まで流れていた。
最初はただの噂だと思い、ずっと九条蓮の動向を見張っていた。
しかし本当に九条家に戻る気配はなく、この噂はどうやら本当らしい。
最近、九条家の大旦那様は九条家の親族たちと頻繁に会っていた。九条悠真も呼ばれたが、特に何も言われず、ただの世間話だけだった。
だが、九条蓮の噂が広まるにつれ、皆が九条家の大旦那様が新しい後継者を選ぼうとしているのではと感じ始めていた。
それで多くの人が色めき立った。
九条家の面々は皆、次期後継者の座を狙って動き出していた。
誰だって巨大な九条ホールディングスを継ぎたいはずだ。
可能性が低い若手の九条悠真ですら、野心を抱き始めていた。
これまでずっと踏みつけにされてきたことに、長年強い恨みを抱いていた。しかも高橋美咲を九条蓮に奪われ、さらに長い間刑務所暮らしまでさせられたことで、その恨みはますます膨れ上がっていた。
九条悠真は高橋美咲を取り戻すだけでなく、九条ホールディングスも手に入れたいと思っていた。
「母さん、ずっと見張らせてるけど、九条蓮は戻ってきてない。もう後継者の資格は完全に失ったはずだ。今がチャンスだよ!」
九条悠真の目には燃えるような光が宿った。
さらに続けて、「最近、九条ホールディングスでも九条蓮の仕事量が減ってるらしい」と言った。
「それは素晴らしいわ!」九条沙耶香は口元をほころばせ、満面の笑みで「もしあなたが大旦那様に気に入られたら、これからは誰の顔色もうかがわなくて済むのよ!」と喜びをあらわにした。
九条沙耶香は悔しそうに歯を食いしばり、「前回の件以来、どれだけ冷たい目で見られてきたか分からないわ」と言った。
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