Chapter 80
本当にセンスないんだから(続き)
店員は申し訳なさそうに答えた。「申し訳ありません。当店のドレスはすべて一点物のオリジナルです。ただ、この方が今お着替えになるので、脱がれた後でよろしければご試着いただけます。」
女性二人は高橋美咲を一瞥し、腕を組んで脇に立った。
「じゃあ、待ってるわ。」
待ちながら、二人は遠慮なくおしゃべりを始めた。
「このドレス、本当に可愛いよね。これ着て高橋部長と九条悠真の婚約パーティーに行ったら、絶対玉の輿狙えるって!」
「高橋部長のおかげで、こんな高級店でドレス借りられるんだもんね。あとでじっくり選ばなきゃ。」
九条悠真が多くの有力者を招待したと聞き、二人はしっかり着飾って、運が良ければお金持ちに見初められて玉の輿に乗れるかもと期待していた。
二人の会話を聞き、高橋美咲はわずかに眉をひそめた。
まさか本当に「狭い世間で敵に遭遇」するとは——九条インターナショナルの社員たちと鉢合わせし、しかも彼女たちも桜井奈緒と九条悠真の婚約パーティーに行くのだ。
できれば関わりたくなくて脇に避けて待っていたが、思いがけず一人が目を細めてこちらをじっと見つめ、何かに気づいたようだった。
「高橋美咲!」その女性はすぐに高橋美咲の前に歩み寄り、不安げで驚いた様子でじろじろと見つめ、最後には確信したように言った。「やっぱり高橋美咲だわ。麗芬、ちょっと来て見て!」
「あれ、本当に高橋美咲じゃない?」もう一人の女性が急いで高橋美咲のもとへ駆け寄った。
一人は月島瑠奈、もう一人は望月麗奈。二人はいつもオフィスで桜井奈緒に取り入ろうと必死だった。桜井奈緒の腰巾着なので、高橋美咲の存在も当然知っている。
今日の高橋美咲はしっかりと着飾っていて、最初は誰だか分からなかった。
だが、彼女が身にまとっているドレスが完璧にフィットしているのを見て、二人の目には驚きと信じられない思いが浮かんだ。
普段は地味な服装で、絵を描くときはいつも汚れていたあの子が——
まさか、こうしてドレスアップしたら、こんなにも美しくなるなんて。
もし桜井奈緒が高橋美咲のことをあれほど話していなければ、今目の前にいるこの堂々とした雰囲気とクールな眼差しを持つ女性が、あの絵描きの彼女だとはきっと気づかなかっただろう。
二人がまだ呆然としていると、外からもう一人誰かが入ってきた。
それは桜井奈緒だった。
彼女もまた、高橋美咲がここにいるとは思っていなかったようで、高橋美咲を見た瞬間、明らかに動揺して固まった。
しばらくしてから、桜井奈緒の視線が高橋美咲に定まる。
高橋美咲の着ているドレスを見て、彼女の目には嫉妬と怒りが浮かんだ。
なんてこと!
高橋美咲が自分のドレスを断った理由は、実は吉田美玲スタイリングで高額を払ってドレスをレンタルしていたからだったのか。
吉田美玲スタジオのオーナー兼デザインディレクターは吉田美玲で、スタジオ名も彼女の名前から取られている。このスタジオには九条ホールディングスが出資しており、つまり九条ホールディングス傘下のビジネスだ。
本来なら、自分の婚約パーティー用ドレスも吉田美玲スタジオのオーナーにデザインしてもらいたかった。
だが吉田美玲はファッションウィークで忙しいと断り、仕方なくあまり有名でない別のデザイナーに頼むしかなかった。それをずっと後悔していたのだ。
自分ですら吉田美玲のドレスを着られなかったのに、高橋美咲が着る資格なんてどこにあるのよ!
月島瑠奈と望月麗奈は桜井奈緒の姿を見ると、すぐに背筋を伸ばした。
そして、あからさまに軽蔑した表情を浮かべ、高橋美咲の目の前で彼女をけなすことを始めた——
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