Chapter 796
九条凛を結婚披露宴に招待する
「元カレと、その今カノよ」九条凛は鼻で笑った。森岡千隼と西園寺莉央のあの顔を思い出すと、滑稽で仕方なかった。
どの口で私をバカにできるのかと呆れていた。
結城絵麻はさっき森岡千隼の正体に気づいていたが、九条凛の言葉で確信し、しみじみとため息をついた。「まさかそんなことになってるなんて。でも、彼はあなたの正体を知らないみたいね。知ってたら、あんなこと言わないはず」
「そう、私の正体は知らない。あの女と出会ってから、金に目がくらんで私を捨てたの」九条凛は森岡千隼のことを語る時、もう何の感情もなかった。
そして「でも、そんなクズ男なんていない方がマシよ」と付け加えた。
結城絵麻はそれを聞いて、しみじみとした気持ちになった。
森岡千隼は九条家のお嬢様である九条凛を捨てて他の女に走った。彼がもし九条凛の本当の素性を知ったら、どんな顔をするのだろうかと、思わず想像してしまった。
高橋美咲は自分のマンションに戻った。
この時間、九条蓮はまだ帰っていないだろう。彼女は家で彼を待つしかなかった。外で物音がするたびに、それが九条蓮の帰宅かと思い、すぐに立ち上がって確かめに行った。
だが、何度か確認しても九条蓮ではなく、そのたびに自分が恥ずかしくなった。
このまま待ち続けるわけにもいかない。もし今夜帰ってこなかったら?もし残業だったら?
高橋美咲はスマホを手に取り、電話をかけるかどうか迷った。でも、もし九条蓮が今忙しかったら、こんな時に突然電話するのは迷惑かもしれない。
そんなふうに悩んでいると、また外から物音がした。
彼女はすぐに手に持っていたスマホを置き、ドアを開けた。
今度こそ、本当に九条蓮が帰ってきた!
高橋美咲は嬉しさを隠しきれず、顔を輝かせて「九条蓮、帰ってきたんだね」と声をかけた。
九条蓮は高橋美咲がドアを開けて駆け寄ってくる姿を見て、まるで妻が夫の帰りを待っていたかのように感じた。
彼の目が一瞬揺れ、そして微かに微笑みながら優しく尋ねた。「待っててくれたの?」
「えっと……」高橋美咲は急に自分が少しはしゃぎすぎた気がしてきた。
さっきまで何度も落胆していたせいで、やっと会えた時にこんなに嬉しくなってしまったのだ。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、今時間ある?」
「美咲が会いたい時は、いつでも時間あるよ。」
九条蓮の声に優しさがにじんでいて、高橋美咲は一瞬ぼうっとした。まるで喧嘩なんてしていなくて、昔のままの関係に戻ったような気がした。
「うちで話す?」と九条蓮が聞いた。
高橋美咲は慌ててうなずいた。「うん。」
彼女はドアを開けて九条蓮を中に招き入れた。5分後、2人はリビングのソファに並んで座っていた。
九条蓮は高橋美咲をじっと見つめ、すぐには口を開かず、彼女が先に話すのを待っているようだった。
高橋美咲は九条蓮にお茶を淹れ、向かいに座った。
彼女は九条蓮を見つめて、率直に尋ねた。「九条蓮、聞きたいことがあるの。東都キャピタルの責任者、西園寺陸さんのこと知ってる?」
その言葉に、九条蓮は眉を上げ、高橋美咲が自分の助けに気づいたことを察した。
彼は口元に微笑みを浮かべて「友人だよ」と答えた。
「じゃあ、私のブランドに投資するように頼んだのは、やっぱり九条蓮なんだよね?」
「うん。」
九条蓮からはっきりとした返事をもらい、高橋美咲の心には複雑な感情が渦巻き、しばらく何も言えなかった。
「でも私たち……」
「美咲には実力があるのに投資家が見つからなかったから、西園寺陸に紹介しただけだよ。投資するかどうかは彼の判断だ。」九条蓮は優しく慰めるように言った。「だから、気に病むことはないよ。」
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