Chapter 795
この女、本気なの?(続き)
ほどなくして、店員が決済端末を持ってきた。
西園寺莉央が疑わしげに見つめる中、九条凛はカードを取り出し、支払いを始めた。
ピッという音とともに決済完了と表示され、端末が自動的にレシートを印刷し始めた。
支払いが成功したのを見て、西園寺莉央と森岡千隼の目に、揃って信じられないという色が浮かんだ。
九条凛には、本当にそれほどの金があったのだ!!
一度にこれほど多くのジュエリーを買う金を、どこで手に入れたのだろう?
森岡千隼は九条凛のことを誰よりもよく知っていた。以前の凛は、金を節約するために市場で値引きされた在庫処分の服を選んでいたほどだ。
普段、九条凛のカードには30万円を超える残高などなかった。それなのに、この金は一体どこから出てきたのだろう?
ほどなくして、店員が包装された服を九条凛のもとに持ってきた。「お客様、お買い上げいただいたお品物、すべてお包みいたしました」
九条凛は店員からショッピングバッグを受け取り、結城絵麻に「結城さん、もう全部買い終わったし、行きましょう」と声をかけた。
「うん」結城絵麻はうなずいた。
そして二人は一緒に店を後にした。
店員は九条凛に丁寧にお辞儀をした。「お客様、どうぞお気をつけて。またのご来店をお待ちしております」
九条凛と結城絵麻の姿が見えなくなって、ようやく西園寺莉央と森岡千隼は我に返った。
西園寺莉央は本当は九条凛を見下してやろうと思っていたのに、まさか逆に恥をかかされるとは思ってもみなかった。悔しさで胸が張り裂けそうだった。
「あの九条凛、許せない!」
西園寺莉央は苛立った目で森岡千隼を睨みつけ、「あなた、元カノの九条凛って、家柄も悪くてすごく貧乏だったって言ってたじゃない。なのに、どうしてあんなにお金持ってるの?」と怒りを込めて言った。
森岡千隼の話が本当なのか、九条凛が本当は貧乏じゃないんじゃないかと疑い始めていた。
そのせいで西園寺莉央は森岡千隼の顔を見るのも嫌になっていた。
森岡千隼はようやく正気に戻り、「いや、大学時代に九条凛と4年付き合ってたから、全部知ってるはずだ。あいつがあんな高いもの買えるわけない」とぼそっとつぶやいた。
その時、西園寺莉央は何かを思い出したようだった。
彼女は森岡千隼を見て、「思い出したわ。さっき九条凛の隣にいたの、結城絵麻っていう結城家のお嬢様よね。もしかして、結城絵麻が全部買ってあげて、私たちに見せつけたんじゃない?」と言った。
森岡千隼はハッとしたようにうなずき、「絶対そうだ!」と答えた。
森岡千隼の言葉で確信した西園寺莉央は、鼻で笑い「てっきり九条凛が急に金持ちになったのかと思ったけど、結局は他人に頼ってるだけじゃない」と吐き捨てた。
森岡千隼はすぐに西園寺莉央の肩を抱き、「もう九条凛のことなんて考えるのはやめよう。君のことが一番大事だ。さあ、婚約指輪を見に行こう」となだめた。
「まだ全然気が済まない!」西園寺莉央は目を細めて冷たく言った。「気が変わったわ!結婚披露宴には九条凛を招待して!」
その時こそ、九条凛に世紀の結婚式というものを見せつけてやるつもりだった。
今日九条凛に恥をかかされた鬱憤を、思い切り晴らしてやるつもりだった。
今の森岡千隼は西園寺莉央の言うことなら何でも聞く。逆らうはずもなく、「わかった、わかった、君の言う通りにするよ。九条凛を招待して、君が世界一幸せな花嫁になるところを見せてやろう」とすぐに答えた。
その後も森岡千隼は西園寺莉央をなだめ続けた。
ようやく西園寺莉央の機嫌も少し良くなり、二人で婚約指輪を見に行った。
…
九条凛と結城絵麻が店を出た後、結城絵麻がようやく尋ねた。「九条凛、さっきの二人って?」
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