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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 788 - 感謝するなら九条蓮に

Chapter 788

感謝するなら九条蓮に

まさか西園寺陸がこんな大きな投資をしてくれるとは思わなかった。これならもう一度新作発表会を開けるほどの規模だ。

まるで空から突然ご褒美が降ってきたようで、完全に不意を突かれた。

高橋美咲の隣で、契約書を覗き込んでいた森川茉莉も、思わず口元を押さえて驚きの表情を浮かべ、叫び出しそうになった。

もともと高橋美咲の投資が奪われた時点で、もう仕方ないと思っていたのに、まさかこんな展開になるなんて!

興奮のあまり、テーブルの下で高橋美咲の服の裾をそっと引っ張ってしまう。

高橋美咲は冷静だった。契約書をテーブルに置き、西園寺陸を見て言った。「西園寺さん、私が十分なリターンを出せなかったら、不安じゃありませんか?」

西園寺陸はその言葉に笑った。「心配していません。高橋さんならきっとやってくれると信じています。」

実際のところ、高橋美咲が損を出しても九条蓮がカバーしてくれるのだから、何も怖くないのだ。

「高橋さん、他にご質問がなければ、契約書にサインをお願いします。」西園寺陸は軽く微笑みながら促した。

高橋美咲はもう一度念入りに契約書を確認し、本当に問題がないと分かると、ようやく安堵の息をついた。そしてペンを取り、署名した。

森川茉莉は高橋美咲の耳元に顔を寄せて小声で囁いた。「高橋マネージャー、まさか本当に西園寺さんから投資をもらえるなんて!これで来週の発表会も恥をかかずに済みますね。」

高橋美咲は高橋彩花の得意げな顔を思い浮かべ、目を細めた。

確か西園寺陸はさっき、勝手に決定した社員はもう解雇したと言っていた。ということは、その社員が高橋彩花に約束した投資はどうなるのだろう?

少し迷った末、高橋美咲はやはり気になって尋ねた。「西園寺さん、先ほどその方を解雇したとおっしゃっていましたが、高橋彩花に約束した投資は……?」

西園寺陸は高橋美咲の心配をすぐに察し、口元に微笑を浮かべて答えた。「高橋さん、ご安心ください。その社員はもう東都キャピタルのスタッフではありませんし、業務の引き継ぎも済んでいます。東都キャピタルが投資するのは高橋さんだけです。高橋彩花さんには一切投資していません。」

西園寺陸の言葉を聞いた瞬間、高橋美咲はすぐにその意味を理解した。

高橋美咲は感謝の気持ちを込めて西園寺陸を見つめ、丁寧に言った。「西園寺さん、まさかここまで助けていただけるとは思いませんでした。今度ぜひお食事をご馳走させてください。改めてお礼を言いたいです。」

西園寺陸は軽く咳払いをし、九条蓮の手柄を横取りするのは気が引けて、率直に言った。「実は、私にお礼を言う必要はありません。本当に感謝すべきなのは九条蓮さんです。彼に頼まれて動いただけですから。」

九条蓮!?

高橋美咲は目を見開いて驚いた。まさか九条蓮が西園寺陸に頼んでくれていたとは。だからこそ西園寺陸はこんなに太っ腹だったのか。だから急に態度が変わったのか!

高橋美咲は、九条蓮が密かに自分を助けてくれていたとは思いもしなかった。彼自身も今は決して楽な状況ではないはずなのに、それでも時間と労力を割いて自分を支えてくれたのだ。まさかそんなことがあるなんて、全く予想していなかった。

胸の奥に湧き上がる感情を、どう表現したらいいのかわからなかった。ただ、九条蓮のことを思い浮かべると、心がざわつき、波立つのを感じた。

何度も深呼吸をして、ようやくその気持ちを胸の奥底へと押し込めた。

「高橋部長、特に問題がなければ、私はこれで失礼します。何かあれば、いつでもご連絡ください。」

「はい、西園寺さん、お気をつけて。」