Midnight FableMidnight Fable

裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 76 - 九条蓮、出張へ(続き)

Chapter 76

九条蓮、出張へ(続き)

その言葉は桜井奈緒の痛いところを突いた。

彼女が一番恐れているのは、九条悠真が高橋美咲に心変わりすることだった。そのため、あらゆる手を使って高橋美咲を抑え込もうとしてきた。

実際、高橋美咲の方が自分より美しい。もし高橋家の娘という肩書きがなければ、勝てなかったかもしれない。

桜井奈緒は少し動揺し、「恥知らずね!私は悠真の婚約者よ。彼はもうあなたを捨てたの!」と吐き捨てた。

「人の男を横取りする方がよっぽど恥知らずでしょ?私は別に体裁なんて気にしないわ。」高橋美咲はため息をつき、ゆっくりと言った。「気をつけて。いつか本当のあなたを知ったら、彼は結婚を後悔するかもね。」

高橋美咲が言いたかったのは、桜井奈緒の陰険な策略のことだった。

だが桜井奈緒には、それが高橋家の娘を偽っていることをほのめかされたように聞こえ、その場で動揺した。

桜井奈緒の顔色はひどく、ほとんど叫ぶように「高橋美咲!何を馬鹿なこと言ってるの?気をつけなさいよ、名誉毀損で訴えるわよ!」と声を荒げた。

彼女が最も恐れていたのは、自分の正体が暴かれることだった。

高橋美咲は桜井奈緒の鬼のように歪んだ表情を見て、思わず九条悠真が少し気の毒になった。こんな恐ろしい女と結婚するなんて、本当に哀れだ。

美咲は軽く笑った。「じゃあ、どうぞ訴えてみて。どんな証拠が出せるか見せてもらおうじゃない。」

桜井奈緒は何も言い返せなかった。本当に証拠など持っていないのだ。

彼女が黙り込んでいるのを見て、高橋美咲はゆっくりと言った。「未来の九条夫人、そんなにご丁寧に招待してくれたんだから、ちゃんと婚約パーティーには出席するわ。会場で会いましょう。」

そう言い残して、美咲はその場を後にした。

高橋美咲が去った後、桜井奈緒は全身から力が抜け、背中にじっとりと汗がにじんだ。

高橋美咲!

いつからこのことを知っていたのか?

考えれば考えるほど、桜井奈緒の表情は暗く沈み、全身から陰鬱な雰囲気が漂い始めた。誰も近寄りたくないほどだ。彼女の手はぎゅっと握りしめられていた。

高橋美咲がいる限り、自分のすべてが一瞬で消えてしまうかもしれない。もし本当に暴かれたら……

いや、絶対に高橋美咲を完全に潰さなければ!

……

九条インターナショナルを出た高橋美咲の携帯が鳴った。画面を見ると、九条凛からの電話だった。

「美咲、ごめんね。最近ちょっと忙しくてなかなか会いに行けなかったんだけど、ふと思い出したの。九条悠真のクズとあの白蓮女の婚約パーティーがもうすぐなのに、私たちまだドレス作ってなかったよね。今、美咲は家にいる?すぐ迎えに行くから、一緒にオーダーメイドしに行こう!」

九条凛の言葉を聞いて、高橋美咲の唇がほんのり上がった。

幸い、頼れる親友がいてくれる。

「今、九条インターナショナルの前にいるよ。迎えに来て。」

九条凛はすぐに真っ赤なスポーツカーで駆けつけた。車は美咲の前で止まり、ドアが開く。「美咲、乗って!」

高橋美咲はドアを開けて乗り込んだ。

九条凛がアクセルを踏むと、スポーツカーは轟音を上げて一気に走り出した。

高橋美咲は助手席に座り、車内の装飾を見回して不思議そうに尋ねた。「どうして急にこんな車に乗ってるの?」

九条凛は九条家の長女だが、大学時代はずっと働きながら学び、自分が令嬢であることを隠していた。もし後で偶然九条家の娘だと知ることがなければ、美咲も自分と同じ普通の家庭の子だと思っていただろう。

普段なら、こんな車を乗り回すことは絶対にないはずだ。

その話題になると、九条凛の顔に嫌悪の色が浮かんだ。

彼女は遠慮なく悪態をついた。「まさか森岡千隼が、金持ちに媚びて貧乏を捨てるような男だったなんて思わなかった。金持ちの女とくっついて、私を振ったのよ!」