Chapter 750
九条蓮のお見合い騒動
九条凛はすぐに不安になり、「兄に何かあったの?」と食い下がった。
「高橋さんと別れてから、まるで命を削るように働いていらっしゃいます。もう3日も帰宅されていませんし、毎日残業続きで……私たちもそろそろ限界です!」
真壁は、九条蓮は表面上は平然としているが、実際はかなりのダメージを受けているのではないかと疑い始めていた。3日間、昼夜問わず働き続け、まるで機械のようだった。
だが、部下たちは生身の人間だ。いつまでも付き合いきれるものではない。
真壁はようやく愚痴のはけ口を見つけたかのように、九条凛に次々と不満をこぼし続けた。
九条凛はそれを聞いて、眉をひそめた。
前に九条蓮が何の反応も見せなかった時は、全く気にしていないのかと思っていた。だが後で、何か考えがあるように見えて安心していた。
だが、今の話を聞く限り、思っていたほど状況は良くないようだった。
そんな中、会議室のドアが開き、中から人々が次々と出てきた。九条蓮はその中央にいた。仕立ての良いスーツに身を包み、落ち着いた表情と圧倒的な存在感を放っていた。
今日、真壁は九条蓮のそばにはおらず、会議室にいたのは水城圭介で、その顔には疲労の色が濃く浮かんでいた。さっきの会議がいかに大変だったかがうかがえた。
九条凛は九条蓮の姿を見つけると、すぐに駆け寄った。「蓮、やっと出てきた!話があるの。」
九条蓮は彼女に軽く目を向け、表情が少し和らいだ。低い声で「うん。入って」と言った。
そう言って、先にオフィスへと入っていった。
オフィスの中。
九条凛は入るなり、「蓮、知ってる?お祖父様がもうお見合いをセッティングし始めてるの!」と切り出した。
九条蓮はソファに腰掛け、九条凛を見上げた。「それで?」
「それで……それでね……お祖父様が選んだ相手は結城家の結城お嬢様よ。名前は聞いたことがあるけど、すごく有能で綺麗な人らしいの。佐伯葉月みたいな白蓮系の偽善者とは全然違うって評判。それに、今夜うちに食事に呼んでるの。私、それを知ってすぐに蓮に知らせに来たの!」
九条蓮は眉をひそめ、表情が険しくなった。
ここ数日、彼は意図的に九条家本邸から距離を置いていた。一つは計画を早く進めるため、もう一つは九条家の大旦那様にこうした話をされるのを避けるためだった。だが、結局どうやっても避けきれなかった。
「蓮、早く何か考えて!お祖父様はまず結城お嬢様と食事させて、次は婚姻届を出させるつもりかも!」
それはまさに九条家の大旦那様がやりそうなことだった。
九条蓮は九条凛の言葉を聞いて、思わず冷たい笑みを漏らした。「俺と美咲はまだ離婚していない。」
つまり、まだ高橋美咲と法的に夫婦関係があるから、九条家の大旦那様がどれだけ焦ってもどうにもできない、ということだった。
「えっ……蓮と美咲……」九条凛は少し驚いたが、すぐにまた嬉しそうな顔になった。蓮と高橋美咲がまだ夫婦だとは思っていなかったので、これなら心配ないと安心した。
だが、もしお祖父様がそれを知ったら、絶対に黙っていないだろう。
九条凛は焦ってまた言った。「でも、お祖父様は今夜帰ってきて結城お嬢様と食事しろって言ってるのよ。蓮、どこかに隠れてて!私がうまくごまかしてお祖父様の相手をするから!」
九条蓮は静かに首を振った。「その必要はない。」
「どうして?まさか本当に結城お嬢様とお見合いしたいわけじゃないよね?」九条凛は不満そうに九条蓮を睨み、もしそんなことを言い出したら絶対に許さないという顔をした。
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