Chapter 749
ちょっと展開が早すぎない?
「凛、お前は結城さんを知っているか?どう思う?」と九条家の大旦那様が尋ねた。
「え?私は……あまりよくは知らないです。名前を聞いたことがあるくらいで。」
「じゃあ悪い噂は聞いたことがないか?結城さんが義姉になるのはどう思う?」
若い世代の九条凛なら、もし結城絵麻に何か問題があればすぐに耳に入るはず。九条家の大旦那様はそう考えて九条凛に尋ねたのだ。
「うーん……悪い噂は特に聞いたことがないです。たぶん、かなり優秀な方だと思います。」
だが、義姉として認める気はなかった。心の中で唯一の義姉は高橋美咲だけなのだから。
「よし、よし、よし!」九条家の大旦那様は満面の笑みで何度も頷き、「さっそく結城家のご当主に電話して、今夜結城さんを夕食に招こう。蓮にも会わせないとな。」と繰り返した。
九条凛は思わず顔を引きつらせた。いくらなんでも展開が早すぎるのでは?
このままだと、兄が断らなければ、その場で婚姻届を出しに行かされそうな勢いだ。
だめだ、絶対にこんなことはさせられない!
九条家の大旦那様が話し終えると、ふと思い出したように九条凛に向かって「凛、お前も今夜は夕食を一緒に食べなさい。ちょうど結城さんの相手もしてやってくれ。」と指示した。
「……」九条凛は心の中で何度も嫌だと思ったが、九条家の大旦那様に言われてしまえば、どんなに嫌でも逆らえない。
結局、しぶしぶ承諾するしかなかった。
その後、九条家の大旦那様は電話をかけに行った。しばらくして戻ってくると、かなり満足そうな表情をしていた。どうやら結城家も快諾したらしい。
だが突然、九条家の大旦那様の顔に心配そうな色が浮かび、「蓮はここ数日会社で忙しいから、体を壊しては困る。今夜は何とかして帰宅させて、ついでに結城さんとも顔を合わせさせないとな。」と呟いた。
九条凛は心の中で小さくため息をついた。美咲を追い出して、兄が好きな人がいないのだから、帰ってくるはずがない。
そう思いながらも、九条凛は手を挙げて「お祖父様……私が迎えに行きます!兄は私の言うことなら一番聞きますから、私が呼べばきっと帰ってきます」と申し出た。
九条家の大旦那様も、これ以上九条蓮と揉めたくはなかったので、誰かが連れてきてくれるならそれが一番だと思った。
少し考えてから「よし、頼んだぞ。何があっても今夜は必ず蓮を連れて帰ってきなさい!」と念を押した。
九条凛は、九条家本邸を飛び出すと、九条蓮に警告するために急いでいた。
…
「蓮!大変なの!」
九条凛はそのまま九条ホールディングスへ駆けつけた。エレベーターのドアが開くや否や、待ちきれずに飛び出し、九条蓮に伝えたいことがあった。
エントランスで真壁直人が九条凛の慌てた様子に気づき、すぐに「九条お嬢様、どうなさいましたか?」と声をかけた。
「兄は中にいる?どうしても伝えなきゃいけないことがあるの!」九条凛は焦りながら、そのままオフィスへ向かおうとした。
真壁は慌てて彼女を止め、「今日は株主の方々がいらしてまして、九条社長は今会議室にいらっしゃいます。オフィスにはいませんので、少しお待ちになっては?」と伝えた。
九条凛はとても気が急いていたが、今は待つしかなかった。
待っている間、九条凛は真壁に最近の九条蓮の様子を尋ね始めた。「ねえ、真壁さん……兄は最近どう?」
九条凛の問いに、真壁は困ったようにため息をついた。「九条社長……最近はあまり良くないんです……」
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