Chapter 742
誰に会ったと思う?(続き)
高橋彩花はよく高橋美咲の話をしていたので、小林百合も彼女のことを知っていた。
しかも写真も見たことがあった。しかし高橋美咲は小林百合のことを知らなかった。
高橋彩花が高橋美咲を見下していることも、小林百合はよく知っていた。だからさっき高橋美咲を見かけた時、驚きのあまりすぐに口実を作って席を外し、彩花に連絡しようとしたのだ。
「誰を見たの?」と高橋彩花が苛立たしげに尋ねた。
そもそも小林百合のような身分の女性は、高橋彩花の交友関係の中にはいない。彩花が小林百合に目をかけているのは、媚びへつらわれるのが気分がいいからだった。
「高橋美咲を見たの!今、部屋探ししてる……」
高橋彩花は小林百合の言葉を聞いた途端、態度が一変した。
「何ですって?」と声を荒げた。
高橋美咲は九条家本邸に住んでいるはずだった。あの時はまるで玉の輿に乗ったような顔をしていたのに、今さら部屋探しだなんて、一体どういうこと?
「とりあえず高橋美咲をその場に足止めして。私、ちょっと調べてみるから」
高橋彩花は小林百合との電話を切ると、高橋美咲の近況についてあちこちに問い合わせ始めた。
九条家と高橋家にはもともと接点がなかったため、高橋彩花は高橋美咲の状況を知らなかった。しかし、他の人が知っていないわけではない。あちこち聞き回った結果、昨日の九条家の誕生日パーティーで高橋美咲に何が起きたのかを知ることができた。
高橋美咲が九条家から追い出されたのだろうと、彼女はなんとなく察した。
この朗報を知った高橋彩花は、思わず笑いが止まらなかった。
まさか高橋美咲にもこんな日が来るとは。まさに因果応報だ!
今や高橋美咲はすっかり落ちぶれている。どうやって彼女を嘲笑ってやろうか。
高橋美咲はこれまで自分にいろいろしてきたし、高橋グループに入って自分の立場を奪おうとまでしていた。彩花はずっと根に持っていた。今や高橋美咲には九条蓮も九条家の後ろ盾もなくなり、祖父ももう彼女を重用しないだろう。
考えれば考えるほど、高橋彩花は気分が良くなった。
そしてふと、彼女を困らせるいい方法を思いついた。
すぐに小林百合に電話をかけ、「小林百合、いい?これから言う通りにして。あとで高橋美咲を……」と指示した。
小林百合は高橋彩花との電話を終えると、何事もなかったかのように高橋美咲の元へ戻った。
「高橋さん、気に入った物件はありましたか?実際にご案内しましょうか?」と笑顔で尋ねた。
高橋美咲はうなずき、さっき見た物件の一つを指差して「これが良さそう。見せてほしい」と言った。
そこは比較的新しいマンションで、建物も新しく、エントランスのセキュリティもしっかりしていた。
小林百合はすぐに「分かりました。今すぐご案内します」と答えた。
2人はすぐにマンションに到着した。高橋美咲はじっくりと部屋を見て、気に入ったので借りることに決めた。
「小林百合さん、この部屋を借ります」
ちょうど支払いをしようとしたその時、入り口から嘲るような嫌味な声が響いた。
「高橋美咲、こんなみじめな姿になってどうしたの?自分で部屋探しなんて、哀れすぎるんじゃない?」
その直後、高橋彩花の得意げな姿が目の前に現れた。
高橋美咲は高橋彩花の登場に少し驚いた。ここは個人の賃貸物件であり、高橋彩花が現れるのは不自然だった。
彼女は冷ややかな目で高橋彩花を見つめ、「どうしてここにいるの?何の用?」と問いかけた。
高橋彩花は冷たい笑みを浮かべ、高橋美咲を見下すように睨んだ。そして嘲るように言った。「私がここにいる理由?ここは私の家よ。好きな時に来て当然でしょ。あなたがこの部屋を借りたいって?貸すつもりなんてないから!」
You might also like




