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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 728 - 九条家の二人の長老を録音した音声

Chapter 728

九条家の二人の長老を録音した音声

パーティーはすでに終わりに近づいていた。

会場にいた人の大半は帰り、高橋美咲は九条家の大奥様を手伝って客を見送った。

突然、どうしてもトイレに行きたくなり、大奥様に一言断ってから化粧室へ向かった。

化粧室の外にある小さな庭に着くと、突然、人影が美咲に飛びかかってきた。

それは、つい先ほど佐伯大輔と高橋美咲を陥れる方法を話し合っていた佐伯葉月だった。大輔と相談がまとまってから、葉月はずっと機会をうかがっていた。高橋美咲と九条蓮が戻ってきたあとも、二人は一緒にいたため、まったく手を出せなかった。

だが今、高橋美咲は一人だ。ついに機会が訪れた!

先ほどは近くの化粧室に人がいたため、高橋美咲は少し離れた場所まで来るしかなかった。そこで佐伯葉月に襲いかかられるとは、思ってもみなかった。

佐伯葉月と一緒に池へ落ちながら、美咲の頭に浮かんだのは、自分と九条家は根本的に相性が悪いに違いない、ということだった。そうでなければ、二度も続けて池に落ちるはずがない。

一度目は、白蓮のように善人ぶった九条芽衣に池へ落とされた。

二度目の今回は、まだ相手の顔をはっきり見ていなかったが、とにかくその人物と一緒に落ちてしまった。

今回は、前回ほど愚かな真似をするつもりはなかった。九条芽衣と一緒に落ちたときは、助けようとまでしたのに、逆に芽衣に頭を水中へ押し込まれたのだ。

美咲は、水中で自分にしがみつく相手を素早く蹴り離した。

そして、すぐさま岸へ向かって泳いだ。

そのとき、まだ近くに残っていた客たちが誰かの水に落ちる音を聞きつけ、すぐに集まってきた。

九条蓮はもともと九条家の大旦那様と話し、最近九条家と取引を始めた役員の相手をしていた。誰かが水に落ちたと聞くと、胸に嫌な予感が湧き、すぐに池へ駆けつけた。

岸に着くと、水面でもがく二つの人影が見えた。その一人は高橋美咲だった!

九条蓮は一瞬で、ほかのことなど何も考えられなくなった。すぐに上着を脱ぎ、身軽な動きで水へ飛び込んだ。

高橋美咲は今日一日ずっと忙しく、体力も本当に限界に近かった。半分ほど泳いだ頃には、すでに沈みかけていた。少し力を抜いて浮かぼうと思ったそのとき、九条蓮が助けに来た。

前回、九条蓮は九条芽衣との一件について美咲を信じず、二人はかなり激しく言い争った。

だが今回は、九条蓮が迷うことなく水に飛び込み、自分を助けてくれた。高橋美咲の胸に感動がこみ上げ、心の奥に温かな流れがいく筋も広がった。前回信じてもらえなかったことは、もう責める気になれなかった。

九条蓮は力を振り絞って高橋美咲を岸まで泳いで運び、客たちの手を借りて、ようやく二人とも無事に陸へ上がった。

そのとき、水中ではまだもう一人がもがいていた。

九条家の大奥様と大旦那様も、本邸で死者が出ることは望まなかったため、その人物も助けるよう人に命じた。

ほどなくして、水に落ちた高橋美咲と佐伯葉月は、どちらも岸へ引き上げられた。大勢の人が二人を取り囲んだ。九条蓮は美咲を抱きしめ、優しく尋ねた。「美咲、大丈夫か?気分はどうだ?」

高橋美咲は首を横に振った。今回は前回より、ずっとましだった。

前回は水を何口も飲んでしまったが、今回は何事もなかった。

美咲は、自分を水へ突き落とした女が誰なのか確かめようと顔を向けた。それが佐伯葉月だとはっきり分かると、眉をきつく寄せ、呆れてものも言えないという表情を浮かべた。

この女は、美咲に辱められたことに激昂し、殺そうとまで思ったのだろうか?

「皆さん、道を空けて。すぐに空けてください!」

突然、待機していた九条家のかかりつけ医が人混みをかき分けてきた。女性医師は高橋美咲のそばへ来て言った。「高橋さん、診察させてください」