Chapter 726
強硬手段に出よう
九条芽衣と別れた佐伯葉月は、一刻も早く佐伯大輔を見つけて話したくてたまらなかった。
先ほどの出来事は、何度も彼らの思惑から外れてしまった。今の状況は極めて不利で、このまま何もしなければ、将来の可能性を完全に失ってしまう恐れがあった。
幸い、九条芽衣がもう一筋の希望を与えてくれた。葉月は今、興奮のあまり全身が震えそうだった。
このあと、高橋美咲が皆の前で正体を暴かれ、全員から軽蔑される姿を想像するだけで、口元から笑みが消えなかった。
高橋美咲にも、見下され、嘲笑されるのがどんな気分か、たっぷり味わわせてやる!
「お父さん、高橋美咲は今、すっかりいい気になってる。本当に手ごわいわ」
佐伯大輔は暗い顔で言った。「あの女が、まさか高橋家の人間だったとは!どうして高橋家の人間なんだ?おかげですべてが思惑から外れた。あの女の評判を落とせなかったばかりか、こちらがさらに白い目で見られる始末だ」
大輔にとっても、まったく予想外のことだった。今や高橋美咲の身分は、佐伯家をはるかに上回っている。
しかも、先ほどの一件を経て、佐伯葉月では高橋美咲にまるで太刀打ちできないことが分かった。
かつて大輔が佐伯葉月について誇りに思っていたことは、すべて高橋美咲に打ち砕かれた。もともと葉月が美咲に勝っている最大の点は、家柄のよさだった。だが今となっては、それさえ笑い話でしかない。
しかし佐伯葉月は、高橋美咲の妊娠が偽りだと知っていたので、少しも焦っていなかった。
葉月は口元に笑みを浮かべ、佐伯大輔に言った。「お父さん、さっきあることを知ったの」
佐伯大輔は驚いて葉月を見た。「何だ?」
続いて佐伯葉月は、九条芽衣から聞いた話をすべて佐伯大輔に伝えた。興奮して言う。「皆の前で高橋美咲の嘘を暴きさえすれば、九条家もあの女を嫌うようになる。そうすれば、私にもまだチャンスがあるわ」
葉月の話を聞き終えた佐伯大輔は、長い間黙り込んだ。目を暗く沈ませ、対策を考えているようだった。
まさか、万策尽きたと思ったところに活路が現れるとは!
天も彼らに味方し、高橋美咲の弱みを握らせてくれたのだ。これをうまく利用しなければならない!
しばらくして、佐伯大輔が尋ねた。「何か考えはあるのか?」
佐伯葉月はゆっくり首を横に振った。「さっきのことがあったから、もう高橋美咲には近づけそうにないわ。あの女を陥れようとしても、そう簡単にはいかないと思う」
それを聞いた佐伯大輔はうなずいた。顔に残忍な表情を浮かべ、歯を食いしばって荒々しく言う。「強硬手段に出よう!」
「強硬手段って、どういうこと?」佐伯葉月は驚いて佐伯大輔を見た。
佐伯大輔は長年、ビジネスの世界で戦い抜いてきた。当然、その手が潔白なはずはない。特別な手段を使うことにもためらいはなく、今は娘の幸せと自分の将来のためなら、なおさら危険を顧みずにやる覚悟だった!
大輔は目に残忍な光を浮かべて言った。「高橋美咲が油断している隙に、事故に遭わせる方法を考えろ。そうすれば医師が診察することになり、隠し通せなくなる!」
佐伯葉月の心臓が激しく跳ねた。「そ……それって……」
佐伯大輔は、この考えが完璧だと思っていた。皆の前で妊娠していないと発覚すれば、高橋美咲は終わりだ。
名家が最も重んじるのはしきたりだ。高橋美咲が皆をこのように欺く度胸があったのなら、暴露されたあとの結末も覚悟すべきだ。そうなれば、九条家から即座に捨てられるだろう。
嘘ばかりつき、のし上がるためなら何でもする女――たとえ高橋家の娘でも、それが何だというのか。そんな女を誰が許せるだろう?
九条蓮と高橋美咲は、まだ庭にいた。佐伯葉月親子がすでに裏で二人を陥れる企みを進めていることなど、どちらも知らなかった。
息を切らした九条凛が、二人の前に現れた。「お兄ちゃん、お義姉さん、こんなところにいたのね!」
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