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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 712 - 高橋美咲を皆の嫌われ者に

Chapter 712

高橋美咲を皆の嫌われ者に

「さっき九条会長は、ひどく不機嫌そうだった。きっと高橋美咲がここにいるのを、あの方も望んでいない。そこから手をつけられるかもしれない!」

佐伯葉月は九条会長の表情に気づいていなかった。だが、佐伯大輔がそう言うのなら、間違いないのだろう。

「あの高橋美咲という女には、家柄も後ろ盾も何もないんだろう?」と、佐伯大輔が突然尋ねた。

佐伯葉月はうなずいて言った。「ええ。あのとき徹底的に調べさせたわ。父親はいなくて、母子家庭で育ち、いるのは入院中の母親だけだそうよ」

佐伯家の父娘はずっと片隅でひそひそと話していたため、高橋美咲について他の者たちが何を話していたのか、まったく耳にしていなかった。

今なお、二人の高橋美咲に対する認識は、以前調査した時点で止まっていた。

高橋美咲がとうに高橋家へ戻り、高橋家の令嬢になっていることなど、二人は少しも知らなかった。

それを聞いた佐伯大輔は鼻で笑った。「たかが母子家庭出身の女が、我々を踏み台にしようというのか。それなら話は簡単だ!」

佐伯葉月は驚いて佐伯大輔を見た。

父がどんな考えを思いついたのか、彼女には分からなかった。

佐伯大輔は冷笑して言った。「お前も分かっているだろう。我々の世界で最も重んじられるのは、その人間の家柄だ。あれほど卑しい出自で、あんな環境に育った女が、今は多少取り繕えても、お前のような名家の令嬢たちの前では、いずれ化けの皮が剝がれる……」

佐伯大輔の言葉を聞き、佐伯葉月は同意するようにうなずいた。

彼女は幼い頃から、名家の令嬢としてふさわしい教育を受け、成長してからは海外留学までしていた。

佐伯大輔は、彼女を将来の家の奥様として育て上げたと言ってもよい。その点において、佐伯葉月は高橋美咲を完全に抑え込めると自信を持っていた。

佐伯大輔は鼻を鳴らして言った。「いろいろ用意してきたんだろう? 少しすれば役に立つ。そのとき、あの令嬢たちの前で正体をさらけ出させろ。皆の前で恥をかけば、九条家もますますあの女を嫌うはずだ」

佐伯大輔は今も、佐伯葉月の能力に絶対の自信を持っていた。高橋美咲ごときが、どうして娘にかなうものか。

佐伯大輔の言葉を聞き、佐伯葉月は自信満々に笑った。

自分が何を用意してきたのか、どうして忘れていたのだろう? 今度こそ、高橋美咲はおしまいよ!

……

宴は続いた。高橋美咲の登場はかなりの注目を集めたが、ほどなくして会場は平常に戻った。

九条家の大奥様の誕生日宴には、多くの社交界の令嬢や資産家の夫人たちが必ず出席すると佐伯葉月は知っていた。彼女自身もこの機会を利用して、大阪の富裕層の夫人たちの輪に入り込もうと考えていた。

そこで今回は、Niaの著名なデザイナーが手がけたジュエリーをいくつも持参し、それを使って人脈を築くつもりだった。

九条家の大奥様の周囲には、資産家の夫人たちが大勢集まり、談笑していた。一時、辺りはにぎやかな雰囲気に包まれた。

高橋美咲は九条凛に引っ張られ、誕生日のお祝いを伝えに来ていた。九条家の大奥様に何を贈ればよいか分からなかった。あの方の地位を考えれば、足りないものなどおそらく何もない。だから高橋美咲は、自分でデザインしたジュエリーを贈ることしか思いつかなかった。

誕生日のお祝いを言い終えたばかりで、まだバッグから贈り物を取り出す間もないうちに、横から声が割り込んできた。

「森岡夫人、今日のドレス、とてもきれいですわ。素敵なネックレスを合わせなければ、もったいないくらい!」

森岡夫人は大阪でもそれなりに地位のある人物で、何より九条家の大奥様とは遠縁に当たり、九条家の大奥様にも意見を伝えられる立場だった。