Midnight FableMidnight Fable

裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 706 - 仲を裂く企みは失敗した

Chapter 706

仲を裂く企みは失敗した

今回の九条会長夫人の宴は、高橋美咲も準備を手伝っていた。健康を気遣って無理はさせなかったものの、必要な仕事については、美咲も決して手を抜かなかった。九条会長夫人は心の中で、とても満足していた。

今、佐伯葉月の言葉を聞くと、夫人の表情には何とも言えない色が浮かんだ。

葉月は東京の小さな資産家の娘にすぎないが、美咲は大阪の高橋家の令嬢だ。本当に比べるなら、美咲のほうが葉月よりはるかに多くの場数を踏んでいる。

ほかの人を貶めて自分の地位を持ち上げる葉月のやり方を、九条会長夫人はあまり好まなかった。

もともと九条会長夫人は、葉月にそれほど温かく接したことはない。九条会長が葉月を気に入っていたため、いくらか親切にしていただけだ。だが今、葉月がこのようなことを口にしたため、夫人の態度は少しよそよそしくなった。

とはいえ、大勢の前で葉月に反論し、面目を潰すのもよくない。

九条会長夫人は、それほど冷酷になる気もなかった。ただ淡々と言った。「分かりました。蓮の将来の妻については、私が必ずしっかり見極めます」

葉月は九条芽衣と同じように、九条会長夫人も一緒になって美咲を嫌ってくれると思っていた。

ところが意外にも、夫人は淡々と答えただけで、表情すらほとんど変えなかった。先ほどの話など少しも気に留めていないようだった。葉月はたちまち少し焦り始めた。

だが九条会長夫人は明らかに、この話題を葉月と続けるつもりがなかった。ちょうどそのとき、別の夫人が声をかけに来た。九条会長夫人は葉月に断りを入れ、その女性とともに立ち去った。

遠ざかる九条会長夫人の背中を見つめる葉月の目に、暗い色が浮かんだ。

いずれにせよ、美咲程度の家柄では、絶対に九条家へ嫁ぐ資格などない。葉月は九条会長夫人に取り入る別の方法を考えるしかなかった。

……

その頃、九条凛はすでに二階の部屋で美咲を見つけていた。

美咲がのんびりとテレビを見ながら食事をしているのを目にすると、凛はあまりのことに言葉を失った。

「美咲! どうしてまだここにいるの? お兄様はあなたが見つからなくて、心配のあまり今にもおかしくなりそうだったのよ。スマートフォンの電源まで切れていたのに! それなのに、ここでテレビを見てるなんて」

美咲は目を上げて凛をちらりと見た。スマートフォンを手に取って確認してから言った。「さっき充電が切れたみたい。気づかなかった」

それなら仕方がない。そのとき凛は、美咲がドレスにさえ着替えていないことに気づき、尋ねた。「まだ着替えてもいないじゃない。早く着替えて、一緒に階下へ行こう」

美咲は仕方なさそうに、わずかに唇を曲げた。「凛、私は階下へ行かない。先に戻って」

「えっ? どうして?」凛はまだ少し呆然としており、美咲にいったい何が起きたのか分からなかった。

美咲は黙ってため息をついた。「さっき九条のお祖父様に、二階にいなさい、用もないのに階下へ来て歩き回るなって言われたの」

「何ですって!」凛は心底驚いた。

九条会長がそんなことをするとは、まるで思っていなかった。美咲を階下へ来させないなんて、いったい誰に恥をかかせたいのだろう。

美咲がひどい扱いを受けたと思ったものの、凛は九条会長を少し恐れており、美咲を勝手に階下へ連れていくこともできなかった。

「お兄様を呼んでくる!」そう言うなり、凛は身を翻して走り出した。

「待って、凛……」美咲は自分のことで蓮と九条会長が衝突するのを望んでいなかった。だが凛は振り返ることなく、すでに走り去っており、追いつくこともできなかった。

結局、美咲は席へ戻り、腰を下ろすしかなかった。

スマートフォンを充電器につなぎ、あとで電話で蓮に事情を話し、心配させないようにしようと考えた。