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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 678 - 九条家の集い

Chapter 678

九条家の集い

彼はさっき電話でも妙に秘密めいていて、行き先をはっきり教えてくれなかった。ずっと我慢していたが、ついに聞かずにはいられなかった。

九条蓮は前を見据え、慎重に運転していた。

高橋美咲の問いかけに、低い声で答えた。「これから九条家で夕食だ。」

「え?」高橋美咲は完全にきょとんとした表情を浮かべた。

なぜか、九条家に行くと聞いた瞬間、急に緊張してしまった。つい最近、九条蓮の正体を知ったばかりで、九条ホールディングスの社長だと知って驚きからようやく立ち直ったところなのに、今度は本当に九条家に連れて行かれるなんて。恐怖で胸がいっぱいになった。

九条蓮は口元に微笑みを浮かべて言った。「今日は九条家の集まりなんだ。」

高橋美咲は複雑な気持ちで、しばらく何も言えなかった。

実は、九条蓮の意図はとても明確だった。九条家の集まりであり、自分も九条家の一員だから一緒に連れて行くということだ。

正直、九条蓮が自分を連れて帰らなくても、別に責めるつもりはなかった。今は九条家の大旦那様との関係もあまり良くないのに、そんな状況でも彼は自分を連れて帰ることを選んだ。

それは、彼が自分の存在を皆に示し、誤解を晴らそうとしてくれているということだ。

心の中に温かいものが込み上げてきた。高橋美咲は九条蓮を見つめ、その瞳にはかすかな輝きが宿った。

九条蓮は当然その視線に気づき、喉仏を動かしながらかすれた声で言った。「美咲、そんなふうに見つめられると、抑えきれなくなりそうだ。」

九条蓮の言葉を聞いて、高橋美咲の頬が一気に赤く染まった。

こんなことを言われたのは初めてで、まさかこの人がこんなに密かに甘いことを言うなんて思ってもみなかった。

「本当に私が九条家に一緒に行っても大丈夫なの?」高橋美咲はまだ少し不安で、皆に受け入れてもらえないのではと心配していた。

九条蓮は優しく言った。「心配しなくていい。俺がいるから。」

その一言だけで、高橋美咲の不安はすべて和らいだ。この人がそばにいてくれるなら、どんな困難が待ち受けていても、きっと乗り越えられると感じた。

九条家は大阪でも百年の歴史を誇る名家だ。本邸の敷地は広大で、正門から母屋まで歩くだけでも10分近くかかる。手入れの行き届いた庭園や人工の池などもあり、まるで別世界のようだった。

高橋美咲は高橋家の屋敷も十分豪華だと思っていたが、九条家の規模には驚かされた。

これでは九条家の大旦那様が誇り高いのも無理はない。

車を降りると、高橋美咲と九条蓮は一緒に九条家のリビングへと入った。すでに多くの人が集まっていて、とても賑やかな雰囲気だった。中央には九条家の大旦那様が座っていた。

九条蓮と高橋美咲が一緒に入ってくると、九条家の大旦那様の目が一瞬鋭くなった。

だが、何も言わず、高橋美咲のことは完全に無視した。

九条蓮は高橋美咲の手を握ったまま前に進み、「お祖父様、来ました」と声をかけた。

高橋美咲も緊張しながら「お祖父様」と続いた。

九条家の大旦那様は二人を見上げ、淡々と「うむ」とだけ返した。

その後、九条蓮は高橋美咲を連れて脇の席に座った。

高橋美咲はこうした大家族の集まりには何度も出たことがある。高橋家の集まりも人数が多いので、最初の緊張が少し和らいだ。

その時、突然声が響いた。「この方が義姉さん?」

高橋美咲が顔を上げると、話しかけてきたのはまだ若そうな女の子だった。さっきの呼び方からして、九条蓮の従妹なのだろう。

高橋美咲が心の中でそう推測していると、九条蓮が耳元で小さく言った。「この子は俺の末の叔父の娘、九条芽衣だ。」

前に九条家の大奥様が、九条家は家族が多いと言っていた。九条芽衣は留学中だと聞いていたので、今日の集まりにいるのは意外だった。