Chapter 677
十ヶ月後に子どもなんて、どうするの?
「蓮、なんで黙ってるの?怖いんだけど!昨日の夜、お義姉さんとちゃんと話せてないんじゃないかと思って、迷惑にならないように連絡もしなかったのに。今のその態度、ちょっと不安になるよ。」
九条凛がこんなことをしたのは、神谷海斗にそそのかされたからだった。
実のところ、彼女自身も自分のしたことが正しかったのか分からず、高橋美咲が知ったら怒るのではないかと心配していた。
何よりも、九条蓮の表情があまりにも読めなかった。今、彼が何を考えているのか全く分からない。
九条凛がどうしようもなく不安になったその時、九条蓮がようやく彼女をこれ以上悩ませるのをやめ、「もう大丈夫だ。これからは今まで通りだよ。美咲はお前のお義姉さんのままだ」と口を開いた。
九条蓮がはっきりと認めたことで、九条凛は満面の笑みを浮かべた。
「わあ、本当に良かった!やっぱり私って天才。これで蓮とお祖父様の問題も解決だね。でも蓮、お義姉さんと早く赤ちゃん作らないと、十ヶ月後にお祖父様に見せる子ども、どこから連れてくるの?」
九条凛の言葉を聞いて、九条蓮の目が一瞬暗くなった。
昨夜からすでに努力は始めている。あとは本当に子どもができるかどうか、そればかりはもう自分の手には負えない。
…
その頃、高橋美咲はすでに高橋グループに到着していた。
彼女が予想していなかったのは、神谷久仁子が得意げな顔をして立っており、高橋正人が厳しい表情をしていたことだった。その後ろには高橋グループの社員が何人も並んでいる。高橋美咲は何人かに見覚えがあったが、他は知らない顔だった。
皆の視線が彼女に集まり、何人かは明らかに面白がって見ている様子だった。
高橋美咲が近づくと、神谷久仁子が口を開いた。「高橋グループ初日から遅刻なんて、社員としてどういうつもり?時間にルーズな人は信用もないって、みんな思ってるわよ。」
高橋美咲は唇を引き結び、何も言わなかった。
実際に遅刻したのだから、言い訳のしようもない。
高橋彩花はもともと高橋美咲が会社に入ることに不満を持っていたが、まさか自分から失敗するとは思っていなかった。
「もういい、美咲、こっちに来なさい。」と高橋正人が口を挟み、高橋彩花の言葉を止めた。
高橋美咲は感謝しながら彼のそばへ歩み寄った。
高橋彩花は高橋正人が高橋美咲をかばうのを見て、顔色が一気に曇った。
くそっ、高橋美咲。九条蓮の立場があったからこそお祖父様に認められて高橋グループに入れたのに、もう二人は離婚したんだから、この事実をお祖父様の前で暴露すれば、美咲なんてすぐに追い出される。
そう思うと、高橋彩花はようやく安心した。
その後、高橋正人が高橋美咲の身分を高橋グループの皆に紹介した。「みなさん、今日から正式にマネージャーとして働く高橋美咲さんです。これから協力していきましょう。」
拍手が起こったが、内心では高橋美咲を軽く見ている者もいた。
初日、高橋美咲は特に仕事らしいこともせず、オフィスで少し過ごしただけで、すぐに退勤時間になった。そこへ九条蓮から電話がかかってきた。電話越しに、迎えに行くから一緒に出かけようと言われた。
今や高橋美咲は、九条蓮に「どこかへ連れて行く」と言われると、条件反射のように身構えてしまう。
また何か問題が起きるのではと心配だったが、よく考えてみれば、そう何度も驚くようなことは起きないだろうと自分に言い聞かせ、少し気を緩めた。
高橋美咲は九条蓮の車に乗り込んだ。車はゆっくりと発進し、滑らかに道路を進んでいく。
ようやく高橋美咲は好奇心を抑えきれずに尋ねた。「九条蓮、今からどこに連れて行くの?」
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