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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 666 - 美咲はもう彼に同意した

Chapter 666

美咲はもう彼に同意した

高橋美咲はレストランを出て、一目で九条蓮と九条凛が道路脇に座っているのを見つけた。

九条凛の赤くなった目と、九条蓮にしがみついて悲痛に泣きじゃくる様子を見て、高橋美咲の心は一気に沈み込んだ。

ここは車の往来も多いし、何か事故でもあったのだろうか?

他のことは気にしていられず、すぐに九条蓮のもとへ駆け寄り、彼を助け起こした。「蓮、どうしてここに?何があったの?大丈夫?」

九条蓮は険しい表情のまま、ただ静かに首を振った。

タイミングを見計らい、九条凛がすかさず言った。「美咲、兄さんと一緒にご飯を食べに来てたの。さっき兄さんが車にぶつけられて、その車は逃げちゃったの。どうしたらいいのか分からなくて、ううっ…」

九条蓮が交通事故に遭ったと聞き、高橋美咲の心臓は一気に跳ね上がった。

彼女は慌てて九条蓮の全身を上から下まで確認し、目立った怪我がないのを見てようやく少し安心した。

その時、黒川善がレストランから出てきて、すぐに九条凛の言葉を耳にした。九条凛が「ご飯を食べに来た」と言ったのを聞いて、彼の顔にはあざけりの色が浮かんだ。

黒川メディカルセンターは大阪の中心部ですらなく、郊外寄りの場所だ。こんなところまで食事に来るなんて、滑稽としか言いようがない。

明らかに美咲目当てで来たのだ。

九条蓮はすでに美咲と離婚しているのに、妹を連れてまるで浮気現場を押さえる夫のような顔で現れるなんて、一体どういうつもりなのか。

高橋美咲は九条蓮の体に大きな異常がないと確認したものの、車にぶつけられた怪我は内出血など外から見えない場合もあると聞いたことがあり、やはり病院で検査を受けさせたいと思った。

「病院に行って診てもらおう」

黒川善は九条蓮に冷たい視線を送り、その場でさらに不機嫌になった。

男はどう見ても元気そうだ。車にぶつけられた人間には見えない。自分と美咲がここで食事している時に、たまたま外で事故に遭うなんて、そんな偶然があるものか。

九条蓮は黒川善の軽蔑の眼差しに気づいた。

九条蓮の奥深い瞳は冷ややかさを帯び、じっと黒川善を見つめた。その視線に、黒川善は一瞬、やはり自分の推測が当たっていたのだと悟った。この男は自作自演で車にぶつけられたふりをして、美咲の同情を引こうとしているのだ。

黒川善は美咲にそれを伝えたかったが、彼女の表情を見て、

今の美咲には九条蓮しか見えていないようだった。何を言っても届かないだろうし、下手をすれば嫉妬深い男だと思われかねない。

なぜか黒川善は、負けた気がした。

美咲との間で何も始まっていないのに、すでに完敗していて、これ以上は何も望めないのだと痛感した。

高橋美咲は九条蓮の腕をつかみ、「本当に大丈夫?どこか痛くない?病院でちゃんと診てもらおう?」と尋ねた。

実の母親が交通事故で亡くなったこともあり、高橋美咲は事故に対して極端に敏感だった。

九条蓮が事故に遭ったと聞いた瞬間、冷静ではいられず、最悪の事態ばかり想像してしまった。

九条蓮は最初、九条凛の自作自演に少し呆れていたが、それでも協力せずにはいられなかった。今、美咲が黒川善を置いて自分のもとへ駆け寄り、心配してくれる姿を見て、胸の奥に温かさが広がった。

美咲はやはり自分のことを気にかけてくれている。そのことに、ほんの少し罪悪感も覚えた。

だが、美咲が他の男と一緒にいることを思うと、多少みっともなくても構わないと思えた。

九条蓮は病院に到着した。

事故が起きたレストランから黒川メディカルセンターの方が近かったため、そのまま黒川メディカルセンターへ向かった。