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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 660 - 離婚協議書

Chapter 660

離婚協議書

高橋美咲が一戸建てに戻ると、真壁直人が玄関先で待っているのが見えた。すでにしばらく前からここにいたのは明らかだった。

「真壁さん、どうしたんですか?何かあったんですか?」

「九条蓮様から、美咲さんに会いに行くように言われました。」

九条蓮が真壁を寄越したと聞いて、高橋美咲はすぐにいくつか察しがついた。胸が急に重く沈んだ。

高橋美咲の顔を見た瞬間、真壁直人はこれから伝えることがあまりにも酷だと感じた。

九条蓮は離婚届を渡すよう、彼に命じたのだ。

高橋美咲がこれを受け入れられるかどうか、誰にも分からない。はあ、九条蓮様は何の理由もなく美咲さんと離婚するなんて……。

「中で話しましょう。」

高橋美咲は真壁直人を家の中に招き入れ、二人はソファに腰を下ろした。

真壁直人は心の中の思いを抑え、手にしたブリーフケースから離婚協議書を取り出し、高橋美咲の前に差し出した。

高橋美咲は目の前の離婚協議書を見て、しばらく固まったままだった。

実家に戻るつもりではいたものの、九条蓮が自ら離婚届を突きつけてくるのはやはり違う。そんなにまでして自分ときっぱり縁を切りたいのだろうか。

しばらく内容をじっくり読んでいると、九条蓮が自分名義の多くの不動産を譲ってくれていることに気づいた。胸が震え、しばらく言葉が出なかった。

こうされるほど、かえって心が痛んだ。

高橋美咲は無理に笑顔を作り、全ての悲しみを押し殺して、ペンを手に取り協議書にサインした。

「この協議書を届ける以外に、九条蓮は何か言っていましたか?」と尋ねた。

「いいえ。」

真壁直人の「いいえ」を聞いて、高橋美咲の目に失望の色が浮かんだ。

せめて何か一言くらいあると思っていたのに、何も言わず、しかも真壁に離婚届を持たせてきた。自分への未練など全くないということだ。

胸に鋭い痛みが走り、高橋美咲はすぐに視線をそらし、真壁に弱さを見せないようにした。

「あの……他に用がなければ、これで失礼します。」真壁直人は美咲の気分が沈んでいるのを察し、これ以上邪魔してはいけないと、書類をまとめて立ち上がり、挨拶して出ていった。

真壁直人が去ると、家の中は一気に空虚で静まり返った。

高橋美咲はソファに座ったまま、長い間何も言わなかった。

九条蓮はこの一戸建ても「太っ腹」に譲ってくれたが、ここにいれば過去のことばかり思い出してしまう。もうここにはいたくなかった。

しばらくして、高橋美咲はスーツケースを持って一戸建てを出た。

……

高橋家の実家。

高橋彩花と高橋花は、美咲がスーツケースを持って帰ってきたのを見ると、顔をほころばせて皮肉たっぷりに言った。「高橋美咲、九条蓮に捨てられたの?まあ当然よね。あなたの母親が九条家の四男にひどいことをした張本人なんだから、追い出されて当然よ。」

二人の冷たい嘲笑を前に、高橋美咲は無表情だった。

二人が言い終わるのを待ってから、淡々と「高橋グループでの生活に慣れるために戻ってきただけ。がっかりさせてごめんなさい」とだけ返した。

そう言うと、美咲は彩花と花を無視してスーツケースを持ったまま階段を上がった。

二人は悔しそうに顔をしかめた。どうやら美咲は本当に高橋グループに入るつもりらしい。

「お母さん、美咲と九条蓮って本当に離婚したのかな?」

高橋花の目が陰った。普通なら美咲が実家に戻ってきたということは外で何かあったはず。でもさっきの落ち着いた様子を見ると、確信が持てない。

まあいい。美咲が高橋グループに入ろうが関係ない。

どうせ何か手を打ってやる。美咲がいつまでも偉そうにしていられると思うなよ!