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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 65 - 車の名義は真壁直人

Chapter 65

車の名義は真壁直人

この男の顔立ちはあまりにも際立っていて、高橋美咲には九条悠真と比べることなど到底できなかった。

高橋美咲は、まるで宝くじに当たったような気分だった。

たとえ契約上の夫であり、ただの道具に過ぎなくても、今や彼は形式的には自分のもの。やっぱり大当たりだと思った。

今日の九条悠真と桜井奈緒の醜態を思い出すと、つい九条蓮にその喜びを分かち合いたくなった。「今日の九条悠真と桜井奈緒、見た?あんな目に遭ってさ。」

あの浮気カップルが苦しむ姿を見て、心の底から嬉しくなった。

九条蓮は顔を向け、深いまなざしで高橋美咲を見つめた。彼女の目が細まり、口元に笑みが浮かぶのを見て、思わず自分も口元を緩めた。

「見たよ。」と彼は答えた。

「自業自得だよね。あんなに目立ってたら、そりゃああなるよ!」

「本当にね。」

「もう私の前で調子に乗れると思わないでほしいわ。」

気持ちを分かち合える相手がいることで、高橋美咲の口元の笑みは消えなかった。

車内には柔らかな音楽が流れ、前方には真っ赤な夕陽がまぶしく輝いていた。

高橋美咲は、東京に来てから今が一番リラックスできていると感じていた。

九条蓮に出会えて、本当によかった。

そのとき、高橋美咲は車のセンターコンソールに数枚の書類があるのに気づき、何気なく手に取って開いてみた。

すると、車検証の名義が真壁直人になっていることに驚いた。

九条蓮は彼女がその書類を手に取ったのを見て、止める間もなかった。

高橋美咲は少し眉をひそめた。

それを見て、九条蓮は軽く咳払いしながら説明した。「この車、真壁直人からお金を借りて買ったんだ。まだ全部返し終わってないから、名義は一時的に彼のままなんだ。」

高橋美咲は一気に表情を曇らせ、少し非難するように言った。「真壁直人だって大変なのに、家族もたくさん養ってるのに、どうして彼からお金を借りたの!」

「もう返し終わったよ。ただ、名義変更する時間がなくて。」

それを聞いて、高橋美咲の表情はだいぶ和らいだ。「じゃあ、早く名義変えてね。何かあったとき、責任がややこしくなるから。」

「うん。」

九条蓮は、これが人生で一番安く手に入る車になるかもしれないと思った。

二人がマンションに戻ると、九条蓮は率先して荷物をキッチンまで運んでくれた。

さらに、野菜を切る作業まで引き受けてくれたので、高橋美咲の仕事は一気に楽になった。火加減だけ見ていればよく、二人で協力して食卓いっぱいの料理を作り上げた。

夕食後、九条蓮が片付けを終えるのを見届けたときには、すでに時刻はほぼ22時になっていた。

そろそろ寝る時間だ。

でも……

高橋美咲は目の前のベッドを見つめ、戸惑いを覚えた。これまでは九条蓮が男性で、しかも男性が好きだと思い込んでいたから、全く警戒心がなかった。だが、今日になってその思い込みが違うかもしれないと気づいてしまった。

同じベッドで寝ることを考えると、複雑な気持ちになった。

初めて一緒に寝るわけでもないのに、なぜこんなに気になるのか。自分でも不思議な感覚だった。

その頃、九条蓮も同じようにバスルームにこもり、葛藤していた。

高橋美咲と一緒に横になると、どうしても不純な気持ちが湧いてきて、その感情はどんどん強くなっていた。これは良くない兆候だ。

高橋美咲は甥の元カノ……

でも、もう違うし、今は正式に自分の妻。自分が何を望んでも、何もおかしくない。

九条蓮は深呼吸をして、バスルームのドアを開けて出てきた。

外の明かりはすでに消され、ベッドサイドの小さなランプだけが灯っていた。九条蓮はベッドに近づいた。高橋美咲はスマホをいじりながら座っていて、とても集中している様子だった。九条蓮はつい、何を見ているのか気になった。

彼はベッドに腰掛け、身を乗り出して覗き込んだ。

誰かが近づいてくる気配に気づき、高橋美咲は顔を上げた。すると、九条蓮の端正な顔がすぐ目の前にあり、驚いて思わず後ろにのけぞった。だが、勢い余ってベッドの端から落ちそうになった。