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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 645 - 今でも父さんを恨んでいるのか

Chapter 645

今でも父さんを恨んでいるのか

リビングでは、高橋彩花と高橋花が険しい表情で座っていた。

少し前、高橋正人が高橋美咲と九条蓮を書斎に呼び出し、まだ戻ってきていなかった。何を話すつもりなのか、誰にも分からない。

高橋彩花は、高橋美咲が戻ってきてからというもの、高橋正人が美咲にやけに親しげに接していると感じていた。心の奥底では、まだ美咲のことを気にかけているのだろう。さっきの誕生日パーティーでの出来事に加え、美咲にあれほど痛烈に恥をかかされたことで、彩花は怒りで血を吐きそうなほどだった。

美咲が高橋グループに戻ってくることを考えるだけで、彩花は気が狂いそうになった。

その頃、書斎では——。

高橋正人は椅子に腰掛け、目の前の椅子を指して「まず座りなさい」と言った。

二人は並んで椅子に座った。高橋正人を見つめると、以前よりもずいぶん老け込んだように感じられた。気づかぬうちに白髪も増え、こめかみのあたりまで根元が白くなっている。

まるで一気に年を取ったようだった。

過去の記憶が一気に押し寄せる。幼い頃は高橋正人に甘えて物をねだったものだが、彼は無条件で可愛がってくれた。そして高橋花との浮気——。相反する二つの記憶が入り混じり、美咲の心は複雑だった。

美咲は唇をきゅっと結び、黙ったままだった。

実は、高橋正人が母と別れた当時、美咲はそれほど気にしていなかった。本当に嫌だったのは、正人が高橋花の味方をし、母が事故に遭った時も何もしてくれなかったことだ。

それがきっかけで、当時は自分で必死にお金を稼ぐしかなかった。

高橋正人も美咲を見て、やはり過去を思い出さずにはいられなかった。重いため息をつき、「美咲、お前は今でも父さんを恨んでいるのか?」と尋ねた。

美咲は何も言わなかった。

恨んでいないと言えば嘘になるが、正人への憎しみは以前よりだいぶ薄れていた。

少なくとも今こうして向き合っている時、以前のように激しく憎んだり、口もききたくないとは思わなくなっていた。

しばらく沈黙した後、美咲は「もちろん恨んでる」と答えた。

もしあの時、正人が浮気しなければ、家族は壊れなかったはずだ。

美咲の沈んだ様子に気づいたのか、九条蓮がそっと彼女を抱き寄せ、優しく背中を撫でた。

美咲は九条蓮に深く頼っているようだった。彼の馴染みのある香りを吸い込むと、不思議と心が落ち着き、不安も消えていった。

高橋正人は、美咲と九条蓮の間にある信頼と親密さを見て、表情を曇らせた。

本当は美咲にこの話をするつもりだったが、急に気が変わった。

自分と美咲の母親の関係がうまくいかなかったからこそ、美咲には望む幸せを手に入れてほしい。自分たちの世代のように、一生苦しんでほしくはなかった。

考えをまとめた正人は、低い声で「美咲、先に出ていなさい。彼と話がしたい」と言った。

美咲は一瞬ためらった。

九条蓮は微笑んで「心配しなくていいよ。お義父さんと会うのは初めてじゃないから」と言った。

その言葉で、美咲は前回会ったのが九条悠真の結婚式だったことを思い出した。あの時も正人は九条蓮と話していたのだから、今回も問題ないだろう。

九条蓮に背中を押され、美咲は書斎を出た。

書斎のドアが閉まり、九条蓮と高橋正人だけになると、正人は厳しい表情で九条蓮を見つめ、「美咲の母親のことは知っているか?」と尋ねた。

美咲が出てリビングに戻ると——。

高橋彩花と高橋花の母娘が座っていた。美咲の姿を見るなり、二人とも同時に顔色を悪くした。

今日、美咲に散々恥をかかされた二人は、どう見ても美咲が気に入らず、今すぐ出て行ってほしいとさえ思っていた。