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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 643 - 彼女を止めなきゃ(続き)

Chapter 643

彼女を止めなきゃ(続き)

高橋彩花は九条蓮と高橋美咲の関係を知らず、九条蓮の前で美咲を悪く言い、自分を可哀想な被害者に見せて男心をくすぐろうとした。

案の定、高橋彩花の言葉を聞いた九条蓮の眉はさらに深くひそまった。

高橋彩花はこれで二人の間に楔を打ち込めたと内心ほくそ笑んだが、意外にも九条蓮はそのまま高橋美咲の方へ歩き出した。その光景に、彼女の目に驚きが浮かんだ。

すぐに高橋彩花は我に返った。

もしかして、九条蓮は自分のために立ち上がろうとしているのか?

慌てて「九条さん、私のために無理しなくていいんです。美咲も姉ですし、私は何も気にしてませんから」と言った。

九条蓮はまったく耳を貸さず、毅然とした足取りで高橋美咲の方へ進んでいった。

高橋花は九条蓮が歩み寄ってくるのを見て、歯ぎしりするほど悔しがった。本当は美咲を追い払って九条蓮の目に留まらせたくなかったのに、結局あの小娘が彼の関心を引いてしまった。

「九条さん…」

高橋彩花も慌てて後を追い、「九条さん、本当に大丈夫ですから」と必死に言い続けた。

高橋彩花の言葉を聞いた高橋花は、すぐに彼女の手をつかみ、「彩花、どういうこと?なんで九条さんが急にこっちに来たの?さっき美咲が目立ったから?」と問い詰めた。

「お母さん、さっき九条さんに姉のことを少し話したら、私のために立ち上がってくれるみたいで…私も困ってるの。」

二人とも高橋美咲と九条蓮が知り合いだとは夢にも思わず、九条蓮が今こちらに来るのは彩花のために立ち上がってくれるからだと信じて疑わなかった。高橋彩花自身もそう確信していた。

さっき自分が話しかけた時、九条蓮は返事こそしなかったが、確かに自分に注目してくれたのだ。

高橋花はそれを聞いて、高橋彩花がしっかり九条蓮に取り入ったと確信した。

もし九条蓮が彩花に興味がなければ、彼女の言葉だけでわざわざ立ち上がってくれるはずがない。

すぐに高橋花は満面の笑みを浮かべ、「まあ、なんで止めるの?九条さんが公然とあなたの味方をしてくれてるのよ。これでどれだけあなたの顔が立つか分かる?みんなもあなたと九条さんのことを知ることになるし、九条ホールディングスとの提携もこれで決まりね」と喜びをあらわにした。

高橋彩花はその言葉を聞いた瞬間、すぐにそれが真実だと感じた。

さっきまでは全く思い至らなかったのだ。

高橋美咲がこの後みんなの前で恥をかくことを想像すると、心の中で大きな満足感が湧き上がった。

高橋彩花はもう急ぐこともなく、ゆっくりと九条蓮の後ろをついて歩いた。

九条蓮は高橋美咲のもとへ歩み寄り、目線を落として彼女を見つめた。高橋美咲はため息をつき、困ったように言った。「だから、早く出てこないでって言ったのに。ほら、あんな安っぽい女に絡まれちゃって……」

高橋美咲の言葉を聞いて、九条蓮は口元に微笑みを浮かべた。

優しい口調で「うん、僕が悪かった」と答えた。

高橋美咲はさらに「もう、ちゃんとお祖父様に挨拶した?今日はお誕生日なんだから、一言でも挨拶しないと、孫婿に礼儀がないって思われちゃうよ」と尋ねた。

「まだ時間がなかったんだ」

実は九条蓮はすでに事前に贈り物を送っていたが、高橋美咲の夫であることを高橋家の大旦那様はまだ知らないはずだった。高橋美咲に直接紹介してもらいたくて、彼女の前で小さな嘘をついたのだ。

高橋美咲はまたもため息をつき、九条蓮の手を取った。「行こう、一緒にお祖父様に挨拶しよう」

そう言って、九条蓮を高橋家の大旦那様のもとへと連れて行った。

二人は高橋彩花と高橋花の前を通り過ぎ、彼女たちを完全に無視した。

高橋彩花と高橋花は目を見開き、九条蓮と高橋美咲の背中を呆然と見つめていた。頭の中が真っ白になり、さっきの言葉がまだ信じられない様子だった。

高橋美咲は今、何て言ったの?