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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 642 - 彼女を止めなきゃ

Chapter 642

彼女を止めなきゃ

高橋家の大旦那様は、九条蓮と高橋彩花が面識がないことを知らなかった。ただ、高橋彩花が九条蓮に微笑みかけ、何か話しているように見えたので、九条蓮は高橋彩花が連れてきたのだと無意識に思い込んだ。

まさか高橋彩花が九条蓮と連絡を取っていたとは思いもしなかった。

それなら今後、両家で何か協力があれば、それもまた良いことだろう。そう思った高橋家の大旦那様は、高橋彩花への態度を少し和らげた。

その時、高橋美咲と高橋莉良はすでに外に出てきていた。一目で九条蓮が立っているのが見え、その隣には高橋彩花がいた。美咲が出てくると、九条蓮の視線が彼女に向けられた。

一方、高橋彩花は穏やかな笑みを浮かべていた。まるで高橋莉良が言っていた通り、九条蓮に取り入ろうとしているように見えた。

高橋美咲の表情がわずかに引き締まり、九条蓮の方へ歩き出した。

その瞬間、彼女の前に立ちはだかる人影があった。それは義母の高橋花だった。

高橋花は意地悪そうな目つきで美咲を見つめ、鋭くきつい口調で言った。「高橋美咲、あんた何しようとしてるの?」

止められた美咲は、冷ややかに高橋花を見返した。冷笑を漏らし、逆に問い返す。「高橋花さん、私が何をしようとしてると思うんですか?」

自分が何をしようと高橋花には関係ない。

むしろ、なぜ高橋花が突然出てきて自分を止めるのか、その意味を問いただしたかった。

高橋花は美咲が九条蓮の方へ歩いていくのを見て、無意識に美咲も九条蓮の正体に気づき、今度は彼に取り入ろうとしているのだと思い込んだ。

高橋彩花の幸運を美咲に台無しにされては困る。絶対に止めなければ!

高橋花は鼻で笑い、軽蔑の表情で言い放った。「何を企んでるか、私にはお見通しよ。大旦那様の誕生日会に便乗して戻ってきたのも、彩花と会社を争うためでしょ。たとえ大旦那様が認めても無駄よ。高橋グループに戻りたいんでしょ…でも、絶対に無理だから!」

「あれだけ意地を張って出て行ったくせに、結局こうしてノコノコ戻ってきて。残念だったわね。もう高橋グループにあんたの居場所なんてないのよ。」

高橋美咲は口元を歪めた。「そんなに私が彩花の立場を奪うのが怖いの?」

「残念だけど…それはもともと彩花のものじゃない。会社の半分は私の母のものだった。彩花はただの居候よ。」少し間を置いて、淡々と言った。「どいて。」

高橋美咲の言葉を聞いた高橋花の顔色が一気に曇った。

この小娘、高橋美咲!

相変わらず憎たらしい。先に仕掛けてきて、声高に言い放つ。「高橋美咲!恥知らずにもほどがあるわ。自分が何様だと思ってるの?九条さんがあんたみたいな女を気に入るわけないでしょ。恥をかきたくなければ、さっさと消えなさい。無理に近づこうとしたら、容赦しないから!」

高橋花の声が大きかったため、周囲の人々の注目を一気に集めた。

多くの人が高橋美咲の方を振り返った。

その時、高橋彩花と九条蓮も美咲の方で起きた騒ぎに気づいた。九条蓮は高橋花に遮られている美咲を見ると、眉をひそめ、表情が一気に険しくなった。

それを見た高橋彩花は、すぐにため息をつき、理解ある口調で話し始めた。

「九条さん、あれが私の姉の高橋美咲です。昔からああやって無鉄砲で、礼儀も何もないんです。」

いかにも優しくて思いやりのある姉思いの妹を装い、少し困ったように言った。「何度も注意してるんですけど、毎回あんな感じで…私も本当に困ってるんです。」

「昔は姉という立場を利用して、私をいじめてばかりでした。私はずっと黙って耐えるしかなくて…。あの傲慢さと横暴さは父でも手に負えません。」