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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 640 - まさか九条家の人だったなんて

Chapter 640

まさか九条家の人だったなんて

自分が認める前に、高橋美咲が九条蓮の評判を落とすようなことは絶対に許さなかったのだ。

だから、他の人たちの目には、九条蓮はまだ独身のままだった。そして高橋家と九条家の交流もほとんどなかったため、高橋家の人間は彼についてさらに知らなかった。

高橋花はこの話を聞いて、すでに心が動いていた。

もし彩花を九条蓮と結婚させることができれば、高橋美咲に一矢報いることができる。

それに九条家と高橋家が交流し、協力するようになれば、自分たちも一気に上昇できる。もう高橋美咲が家督争いに戻ってくることなど恐れる必要はない。

高橋花はあれこれと考えを巡らせ、九条蓮を見れば見るほど気に入っていった。

彼女は彩花をそっと脇に引き寄せ、小声で言った。「彩花、今の話聞いたでしょ。あの人は九条家の人で、将来は家を継ぐはずよ。もしあの家に嫁げたら、私たちにとっても大きなチャンスよ。」

九条蓮が現れてからというもの、高橋彩花の視線は彼から離れなかった。

今、高橋花の言葉を聞いて、もちろん反対するはずもなかった。

「あとで、うまくタイミングを見て近づいてみなさい。もしかしたら彼の目に留まるかもしれないし、後でお父さんにも話して、二人のきっかけを作ってもらうから。」

高橋彩花は、端正で目立つ九条蓮を見つめ、少し恥ずかしそうな表情を浮かべたが、もう見栄を気にすることはなかった。

九条蓮と一緒になれれば、他の女性たちが羨む存在になれる。今は少しくらい積極的になっても構わない。

二人はすっかり舞い上がり、高橋美咲と九条蓮を結びつけて考えることは一度もなかった。

あるいは、心の奥底で、高橋美咲のような立場の人間が九条蓮と関わるはずがないと思い込んでいたのかもしれない。彼が誕生日パーティーに来たのも、きっと偶然だろうと。

その頃、九条蓮はすでに落ち着いた足取りで高橋家の大旦那様のもとへと歩み寄っていた。

高橋家の大旦那様は九条蓮に早くから気づいており、当然、側近からも彼が誰か耳打ちされていた。

高橋家の大旦那様は九条家の大旦那様のことを知ってはいたが、二人は性格がまったく合わなかった。

当然、交流もほとんどなかった。

ビジネスのことも今は高橋正人が取り仕切っており、高橋家の大旦那様は誰と取引するかに口を出すこともなかった。それも両家の距離を生んでいた。

だが、高橋家の大旦那様は九条蓮のことは知っていた。

今、その正体を聞いて、彼を見る目に一層の観察が加わった。

九条蓮は手に持った贈り物を差し出し、「お祖父様、お誕生日おめでとうございます」と言った。

周囲の誰も「お祖父様」と呼んだことには気づかなかった。ただ高橋家の大旦那様だけがそれを聞き、両家は知り合いではあるが、九条蓮が「お祖父様」と呼ぶほど親しい間柄ではないと感じた。

高橋家の大旦那様は軽く頷いた。「うむ、気を遣ってくれてありがとう。」

徐々に九条蓮の正体が広まり、しばらくすると会場の誰もが彼が誰かを知ることとなった。

あちこちでひそひそと話し声が上がった。

「あれが九条家の長男なんだって。まさか誕生日のお祝いに来るなんて。」

「高橋家と九条家は仲が悪いと思ってたけど、ここ数年は全然交流がなかったはずよね。」

「でも九条蓮が来たってことは、また両家が交流を始めるってこと?」

会場にいた記者たちもこれを見て興奮し、これは一生に一度のスクープかもしれないと感じた。皆が一斉にシャッターを切り、

九条蓮と高橋家の大旦那様が同じフレームに収まる瞬間を捉えた。